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柔道整復師とレントゲン写真撮影に関する昭和58年7月14日最高裁判決紹介

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平成27年 7月28日(火):初稿
○診療放射線技師及び診療エックス線技師法24条は、医師、歯科医師、診療放射線技師又は診療エックス線技師以外のすべての者に対し同法2条2項に規定する放射線を人体に照射することを業とすることを禁止し、これに違反した者を一律に処罰することにしたものと解すべきであつて、柔道整復師が骨折・脱臼等の術前・術後の診断のために業としてエックス線の照射を行う場合であつても、その規制の対象から除外されるものではなく、このように解しても、憲法22条1項、25条に違反しないとした昭和58年7月14日最高裁判決(判タ506号92頁、判時1088号146頁)を紹介します。

○事案は、柔道整復師である被告人が、医師、歯科医師、診療放射線技師又は診療エックス線技師の免許を有しないのに、整骨院において、約7年半の間に、多数の患者の人体にエックス線を照射することを業としたとして、診療放射線技師及び診療エックス線技師法24条3項違反に問われた事案で、被告人は、一審において、他の傷害の事実と併せて罰金5万円に処せられ、控訴も棄却されたため、上告に及んだものです。

○主な上告趣意は、
(1)医師等とは独立に柔道整復業務を認められた柔道整復師によるエックス線の照射行為については、技師法24条3項の規制は及ばない、
(2)柔道整復師が柔道整復術を有効・適切に行うためには、骨折・脱臼等の術前・術後にエックス線による診断が必要不可欠であるから、被告人のかかるエックス線による診断行為を技師法24条3項違反として処罰することは、職業活動の自由を保障した憲法22条1項に違反するとともに、憲法25条に違反する
ということです。

○最高裁判決全文は以下の通りです。
主  文
本件上告を棄却する。

理  由
 弁護人○○○○の上告趣意第一の一は、憲法22条1項、25条違反をいうが、診療放射線技師及び診療エックス線技師法24条は、放射線(エックス線を含む。以下、同じ。)の誤った使用が人体に対し障害を及ぼすおそれがあることなどにかんがみ、医師、歯科医師、診療放射線技師又は診療エックス線技師(以下、医師等という。)以外のすべての者に対し同法2条2項に規定する放射線を人体に照射することを業とすることを禁止し、これに違反した者を一律に処罰することにしたものと解すべきであって、医師等とは独立に柔道整復の業務を行うことを認められている柔道整復師が骨折・脱臼等の術前・術後の診断のために業としてエックス線の照射を行う場合であっても、その規制の対象から除外されるものではない。

 このように解しても、憲法22条1項、25条に違反するものではないことは、当裁判所の判例(昭和33年(あ)第411号同34年7月8日大法廷判決・刑集13巻7号1132頁。なお、同56年(あ)第275号同年11月17日第三小法廷判決・裁判集刑事224号45頁参照)の趣旨に徴し明らかであるから、所論は理由がない。
 その余の上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、いずれも刑訴法405条の上告理由にあたらない。
 よって、同法408条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 谷口正孝 裁判官 藤崎萬里 裁判官 中村治朗 裁判官 和田誠一)


○以下関係条文です。
診療放射線技師法
第24条(禁止行為)

 医師、歯科医師又は診療放射線技師でなければ、第2条第2項に規定する業をしてはならない
第2条(定義)
 この法律で「放射線」とは、次に掲げる電磁波又は粒子線をいう。
一 アルファ線及びベータ線
二 ガンマ線
三 100万電子ボルト以上のエネルギーを有する電子線
四 エックス線
五 その他政令で定める電磁波又は粒子線
2 この法律で「診療放射線技師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線を人体に対して照射(撮影を含み、照射機器又は放射性同位元素(その化合物及び放射性同位元素又はその化合物の含有物を含む。)を人体内にそう入して行なうものを除く。以下同じ。)することを業とする者をいう。
以上:1,665文字

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