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平成19年9月17日産経抄新司法試験疑問を読んで

平成19年 9月22日(土):初稿
○第2回目新司法試験合格発表後の平成19年9月17日の産経抄に後記の文章が掲載されました。結論は、法科大学院制度による司法試験では、「“久利生検事”や大平弁護士のような異色の人材の排除につながらないのか。」と言う疑問の表明です。

○“久利生検事”って誰?と思ったら、映画『HERO』で、元不良少年で高校を中退後大学入学資格検定を経て司法試験に合格した木村拓哉演じる異色検事とのことです。こんな検事が現実居るかどうか不明ですが、元不良少年の弁護士なら一定数居るはずです。

○これまでの旧司法試験は、大学で必要な一般教養科目を履修すれば、一次試験が免除され、誰でも2次試験が受けられました。この旧司法試験は平成23年まで後4回しかなく、平成24年からは受験資格が法科大学院卒業生に限られる新司法試験に一本化されます。

○法律関係事務所に勤める30代後半のAさん(女性)から、平成23年まで存続する旧司法試験を受験したいとのことである大学の通信教育を受け、平成20年3月まで一般教養科目履修を終え、同年5月からの旧司法試験2次試験からの受験を目指して頑張っていますとの報告を受け、驚いたことがあります。

○また旧司法試験受験実に29回目の確か58歳で合格し、1年半の司法修習を終えて、3年程前に弁護士になり人気弁護士として活躍しているBさんという女性が居るとの話を聞き、驚きました。何でもBさんは最初に結婚した夫とは、結婚4ヶ月目で妊娠中にも拘わらず離婚を決意するも夫が承知せず、長い時間をかけて離婚実現後に種々の仕事を経験し子供に支えられながら受験を継続して29回目に合格したとのことです。

○新司法試験は、第1回目の受験から5年間に3回しか受験が認められず5年経過するか、3回不合格の場合法曹の道を断念しなければなりません。旧司法試験では私が受験した昭和50年代当時から司法試験受験で10年20年費やし、結局、断念して人生を棒に振ったと言う方も大勢いたのでこのような方を出さないようにするのが新司法試験の受験制限の目的に一つとのことです。しかしBさんのような方もおり余計なお世話という気がします。

○先のAさんは、旧司法試験なら平成20年から23年まで4回受験でき、その4回の内に何とか合格したいと頑張っています。旧司法試験は回数制限もなく誰でも高い授業料の法科大学院など出なくても誰でも受験出来る機会があり、29回目で合格する執念の人も排出しました。
 以下の産経抄の疑問の回答は、「新司法試験は、間違いなく、異色の人材排除に繋がる」だと思います。


【産経抄】
 「人の命の重さを知るための裁判なんです」。公開中の映画『HERO』で、木村拓哉さん演じる検事、久利生(くりゅう)公平がセリフを決める。大物政治家が「つまらん事件」と言い放つ傷害致死事件の裁判で、「無罪獲得数日本一」のやり手弁護士と対決するシーンだ。

 ▼ジーパン姿の型破り検事の最終学歴は中卒だ。不良少年だった久利生は高校を中退、大学入学資格検定を経て、司法試験に合格したことになっている。こんな検事、現実にいるわけがない、といえばそれまで。

 ▼だが、日本一難しいといわれ、合格率3%未満の司法試験が、学歴を問わなかったことは事実だ。それゆえに、さまざまな人生の逆転劇も生み出してきた。中学2年のとき、いじめを苦にして割腹自殺を図り、「極道の妻」の経験もある大平光代弁護士の実例はあまりに有名だ。

 ▼その司法試験が様変わりした。昨年から始まった新司法試験は、法科大学院を修了しないと受けられない。旧司法試験は平成23年の口述試験を最後に廃止される。法曹人口を増やし、法学部以外の卒業生や社会人にも門戸を開くというのがうたい文句だが、2回目の合格発表を見る限り、問題点も多い。

 ▼合格率約40%は、当初目標の7、8割には遠く及ばない。試験の考査委員が、自分の教える法科大学院で、答案練習会を開いていた事実も発覚した。合格者の数による大学院間の序列化が進み、合格率を上げるために予備校化する懸念がますます高まっている。

 ▼なにより、授業料の高い大学院の存在が、かえって、“久利生検事”や大平弁護士のような異色の人材の排除につながらないのか。「改革」はなんであれ、何年もたってみないと、改悪なのか改善なのかわからないのが悩ましい。

(2007/09/17 05:00)
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