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弁護士増員反対決議は国民に訴える力になるか?

平成19年10月26日(金):初稿
○少々古いニュースですが、平成19年10月21日の産経ニュースで後記の通り「司法試験の年間合格者数を3000人程度にするという政府目標に対し、地方の弁護士会から異論が相次いでいる。」との報道がありました。

○合格者数増員への異論の理由は、「弁護士がビジネスライクになり、違法行為に手を染める者も出てくるかもしれない」、「3000人も合格者がいれば質が低下し、国民に損害を及ぼしてしまう」と言うのが典型的なものと思われます。

○私もその理由自体は、おそらくその通りだろうとは思いますが、しかしこの理由で多くの国民を納得させることが出来るとは到底思えません。弁護士業界ではない他の国民一般からは、弁護士業界でこのように主張しても、所詮、既得権を守ること即ち競争しないでビジネスライクならず、これまで通り少数独占で楽な商売を継続したいと願っているだけだと評価されるでしょう。

○「弁護士がビジネスライクになり、違法行為に手を染める者も出てくるかもしれない」との合格者数増員論反対理由については、そんな弁護士は処罰すれば良いだけの話しであり、「3000人も合格者がいれば質が低下し、国民に損害を及ぼしてしまう」との反対理由も、国民に損害を及ぼすほど質が低下した弁護士を使うかどうかはユーザー側の国民であり、国民に損害が出るかどうかも国民が判断することで更に損害を受けるのも国民であり、その国民が反対しないのに弁護士が国民に損害を及ぼすなんて理由で、増員を反対するのは国民にとって余計なお世話も甚だしいと言われることが目に見えています。

○これまで年間500人前後だったものが、6倍もの3000人に増えれば質が低下するのは当然のことです。また競争が激化し、弁護士資格だけでは食べられなくなるのも当然です。しかしこれまで合格できなかった人が法曹になるチャンスを与える面もあります。法曹人口拡大策は、法曹志望者の裾野を広げて、多様多種の人材が法曹となる可能性を大きくする面があります。弁護士側ではなくユーザーである国民側から増員反対の声が起きない限り、建前論としては増員反対は難しいと思っております。

地方から異論続出 司法試験合格者増加目標
2007.10.21 19:48

 司法試験の年間合格者数を3000人程度にするという政府目標に対し、地方の弁護士会から異論が相次いでいる。中部、中国地方の弁護士会のブロック大会では、合格者数削減を求める議題が採択された。日本弁護士連合会(日弁連)は政府方針を尊重する姿勢だが、他の地域でも反発は強く、「地方の反乱」が収まる気配はない。

 広島など中国地方5県の弁護士会でつくる中国地方弁護士会連合会は今月12日の大会で、合格者数削減を求める議題を採択した。

 「これまで進んできた司法改革の流れを検証する意味で一石を投じるものと思う。これから司法のあり方について、業界内だけでなく国民的な議論を巻き起こしていきたい」。議題を提案した山口県弁護士会の上田和義副会長は語る。

 これに続いたのが、愛知など中部地方6県の中部弁護士会連合会。19日の大会で、日弁連に対し、合格者数3000人計画の見直しを政府に訴えていくことなどを求める議案を採択した。

 一連の動きの背景にあるのは、弁護士の大量増加で予想される競争社会の到来だ。合格者数削減を求めるある弁護士は「弁護士がビジネスライクになり、違法行為に手を染める者も出てくるかもしれない」と指摘。別の弁護士は「3000人も合格者がいれば質が低下し、国民に損害を及ぼしてしまう」と弊害を語る。

 地方の声に対し、日弁連は「現在の政府方針を尊重しながら、決議を重く受け止めて、指摘されている問題について検証を進めていきたい」(藤井伊久雄副会長)とするが、今後も見直しを求める声は止みそうにない。

 千葉県弁護士会は今月17日、弁護士増員問題について調査や提言をしたりすることを目的に、「弁護士増員問題対策本部」の設置を決めた。埼玉弁護士会も12月の臨時総会で、合格者の大量増員を見直すよう求める決議案を提出する予定だ。

 司法試験の合格者数をめぐっては、鳩山邦夫法相が政府目標の3000人程度について「多すぎる。質的低下を招く恐れもある」と発言。自民党も司法制度調査会の小委員会で法曹人口のあり方について検討することを決めるなど、波紋が広がっている。
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