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体罰についての胸のすく最高裁判例登場1

平成21年 9月30日(水):初稿
「ニート予備軍の軍縮策3-体罰の思い出」で、「生徒の体罰禁止は人権尊重思想から生み出されたものですが、真実、身体を張ってでも立ち直らせたいとの気迫を持った指導には体罰も必要と思います。極端な人権擁護思想は人間を弱くすると言うのが私の持論ですが、子供の人権偏重主義が教師の権威を喪失せしめ、その結果子供もひ弱にしてしまった」と私の独断と偏見を述べていました。

○ところが平成21年4月28日最高裁判決で、体罰容認論者の私には胸のすく最高裁判決が出ました。
男子Xが公立小学校2年生当時,男性教員Cから違法な体罰を受け,これによりPTSDになったと主張して,当該小学校を設置管理するYに対し,国家賠償法1条1項に基づき,約350万円の損害賠償を求めたもので、事案概要は,以下のとおりでした。
・休み時間に,校舎1階の廊下で駄々をこねていた児童をCがしゃがんだ姿勢でなだめていたところ,通りかかったXが,Cにじゃれついてきた。
・そこに,6年生の女子が数人通りかかり,Xともう一人の男子が,じゃれつくようにして女の子たちを蹴り始めたため,Cはこれを制止して注意した。
・その後,Cが職員室へ向かおうとしたところ,Xは,後ろからCのでん部付近を2回蹴って逃げ出した。
・Cは,立腹してXを追い掛けて捕まえ,Xの胸元を右手でつかんで壁に押し当て,大声で「もうすんなよ。」と叱った。
・Xには,その後,夜中に泣き叫び,食欲が低下するなどの症状が現れ,通学にも支障を生ずるようになったが,通院治療の結果,症状は回復した。
・Xの母親Aはその間、Cの行為について学校側に激しい抗議行動を続け、ついには慰謝料金300万円に治療費等を加えた金353万5559円の支払を求めて訴えを提起した。


○一審の熊本地裁平成19年6月15日判決は何と65万円、2審の福岡高裁平成20年2月26日判決は21万円の損害賠償支払を認めていました。いずれもCの行為は社会通念に照らし教育的指導の範囲を逸脱するものであって学校教育法11条ただし書にいう体罰に該当すると判断しています。

「ニート予備軍の軍縮策3-体罰の思い出」に記載したとおり、50年近く前になりますが、私の子供時代は教師に顔面を強くビンタされて鼻血を出し、或いは髪を引っ張られて水の入ったバケツに顔を突っ込まれても問題にされませんでした。悪いことをしたのだから叱られ体罰を受けても当然との風潮がありました。

○その時代感覚からすると「胸元を右手でつかんで壁に押し当て,大声で『もうすんなよ。』と叱る」位の行為は何ら問題になりませんが、こんなことで「夜中に泣き叫び,食欲が低下するなどの症状が現れ,通学にも支障を生ずる」ようになること自体、本当に子供がひ弱になったものと感じます。
以上:1,138文字

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