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升田純教授判例時報連載”弁護士の取引をめぐる裁判例”紹介序の口2

平成26年 1月 7日(火):初稿
○「升田純教授判例時報連載”弁護士の取引をめぐる裁判例”紹介序の口1」を続けます。
升田教授は、判例時報2201号掲載「現代型取引をめぐる裁判例(340)」の「第十二弁護士の取引をめぐる裁判例2」で弁護士に対する依頼者のクレームについて解説されており、以下、私なりの備忘録です。

従来型クレーム
・弁護士事務処理上の実際の過誤、
・報酬・費用金額に対する不満-不明確で高すぎる

従来から、弁護士に依頼すると幾ら取られるか判らなくて怖いと言う不満が相当強くありました。

最近増加しているクレーム
・事務処理内容、方向についての弁護士との意見の対立
・依頼者への説明・報告が不十分との指摘
・依頼者の個別了解なくしての事務処理或いは依頼者の指示する事務処理をしない
・裁判官・相手方に対するもっと強硬な主張をして欲しいのにしない
・弁護士の証拠の評価、事実認識につき大きな食い違い
・裁判所に提出する準備書面の内容に対する細かな不満
・事件の進行、結果についての不満
・深夜、早朝、休日の対応をしないとの不満


○これらの不満が顕在化した原因は、弁護士と依頼者の力関係の変化によるものです。司法改革によって弁護士の①独占、②寡占、③競争排除の三大特権の殆どが事実上奪われつつあり、弁護士の力が弱まり、相対的に依頼者の力が強まったことが最大の原因です。更にネット社会の到来で、依頼者が自分の抱える紛争解決に必要な法律情報を従前よりズッと簡単に入手でき、法律知識においても従前は圧倒的に弁護士の方が勝っていたものが、弁護士と依頼者の差が縮まって来たことも依頼者が弁護士に対して不満を持つ原因の一つです。

○升田教授は、弁護士と依頼者の関係の変化について次の点を挙げています。
弁護士・法律事務所の
・宣伝広告の増加・多様化
・競争激化と経営悪化
・顧客獲得手法の多様化・拡大
・法律事務需市場変化と要減少
弁護士の
・受任の仕方の変化
・依頼者との信頼関係の変化
・知識・経験・研修の不十分な弁護士激増
・依頼者の弁護士に対する意識の変化
・クレーム対策不足


○弁護士と依頼者の関係についての上記構造変化によって、弁護士業務は一層高度な技術を要求される難しい職業になっております。しかし、基本は依頼者との信頼関係にあり、受任に当たっても、受任後事務処理を遂行するに当たっても依頼者に対し丁寧な説明によってその納得を頂いた上で受任し、また、受任後の職務を遂行することに尽きます。昔、弁護士の報酬は「慰謝料」だなんて言い方がされていたことがありますが、正に上から目線意識であり、このような意識を改革していかなければなりません。

以上:1,074文字

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