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”弁護士資格”の価値低下は司法改革の目的に沿うもの

平成26年 8月10日(日):初稿
○京都の弁護士法人白浜法律事務所白浜徹朗所長さんの「白浜の思いつき」と言うブログの平成26年8月3日付け記事「新規登録弁護士の中に登録を抹消する人が増えているということ」で、「司法試験に合格したところで弁護士になれるとは限らないということは、もはや常識のように世間に定着してしまった感があり、早くからその問題を指摘してきた者としては、大変残念に思っています。」と書かれています。

○この記事では、60期以降の各期別最大登録弁護士数が、平成26年8月2日現在で
60期が2094名から2056名に38名減
61期が2122名から2075名に38名減
62期が2109名から2061名に48名減
63期が1925名から1876名に49名減
64期が1907名から1907名に17名減

となっており、特に63期について弁護士3年半経過で約50人も弁護士を辞めているのは驚くべき数字であり、64期以降は、更に顕著な現象が生じる危険性は極めて高いと言わざるを得ませんと、嘆いておられます。

○白浜弁護士さんは、相当以前から、司法試験合格者数激増の司法改革について、このままでは弁護士は資格を取っても食べられない職業になると多方面で警告されてきた方で、私も弁護士仲間MLや日弁連業革委員会でご一緒して存じ上げてきましたが、法曹制度について真摯に研究される姿勢には敬意を表します。

○同ブログの「法学部人気の凋落について思うこと」での「法学部の人気凋落の最大の原因となっている感のあるのは法科大学院です」、「法学部人気の凋落傾向は、法科大学院なるものが作られ、卒業生を輩出してから5年程度のことで出現しているわけですから、法科大学院を中核とした法曹養成制度を早急に見直せば、急回復することもあり得る」との記述は全く同感です。

○ただ私は、「司法試験に合格したところで弁護士になれるとは限らない」と言う状況は、正に司法改革の目的であり、司法改革の目的を達したものと認識し、やむを得ざるものと理解しています。繰り返し記載してきましたが、つい10数年前までは、弁護士は①独占・②寡占・③競争排除の特権を与えられた特権階級でした。この特権のお陰で弁護士は、資格さえ取れば、余程のミスをしない限り、あとは一生安泰でした。

○このような特権階級としての弁護士業務は殿様商売となり、お客様をお客様とも思わず、俺たちは世の指導者だ、俺の言うことに従えとお客様を上から目線で見下す傾向が強くなります。勿論、全てがそうだとは限りませんが、これが一般的傾向になることは間違いありません。実際、私自身そうで、いまでもその名残を感じ、反省を強いられることがあります。このような弁護士のあり方に反発が生じて、特権階級から引きずり落とせの大合唱が、司法改革の実態と私は認識しています。

○要するに弁護士について、これまでの普通の職業とは違う偉い崇高?な地位から、普通の職業にその地位を低下させるのが司法改革の目的でした。この認識では、3年半の弁護士経験で、全体の2~3%の方が弁護士を断念するのは、普通のことになります。弁護士が特権で囲まれていた時代は、その資格さえれば食えて当然だったものが、普通の資格に低下したので、弁護士になっても食えず辞める例が出てきて当然です。

○これから弁護士資格を目指す方は勿論、現在弁護士となり、ある程度の地位を築いている方も、相当の努力を継続しないと弁護士として食べてはいけない時代になったことを強く自覚して、工夫・努力を続けなければ、たちまち食えなくなる、と私には認識しています。以下、あるブログのコメント欄に寄せられた声ですが、これが世間一般の声と認識すべきと言い聞かせています。

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・営業回りたくない、人に頭下げたくない、競争したくない、楽して儲けたい、偉そうにしていたい・・
これが弁護士の本音

・>街の酒屋がコンビニや大規模郊外店に駆逐されたことが、また、繰り返されると思います。
同じ事が起きるなら、別に、それでいいんじゃないの?
大多数の消費者は、それで全く困らないし、大歓迎してるよ
そもそも、なぜ消費者が「街の酒屋」に行かず、「コンビニや大規模店」に行くようになったか判る?

・それは酒屋が戦後から、ずっと酒販免許に守られて「殿様商売」を続けて来たからだよ

・弁護士業界だって、旧来の仲間意識で身内最優先でやってきた時代から、価格も安くなり、選択肢も増えて、いつでも弁護士に相談できるようになるなら、依頼者は大歓迎ですよ
歓迎しないのは、旧来の特権意識にしがみついて、楽して儲けようっていう弁護士だけでしょうね

・悪徳弁護士が増える?、悪徳弁護士なんて昔から居ましたけど?
それよりも、選択肢が増え、依頼者主導で弁護士を選択できるメリットの方が大きい
高い金出して、偉そうにふんぞりかえってる弁護士に嫌々でも依頼しなければならない状態が解消される

・ここで、私怨とか愚痴とか弁護士の増加に文句云ってるしてる奴は、クレサラ問題の初期の状況をよく見てみろ
「儲からない」とか「面倒くさい」「やったことない」という理由で殆どの弁護士はシランプリをしていた
それが、最高裁判決で労せず儲かるとなるとあの殺到ぶりには恥をしれよ

・これからは、細かい仕事を丁寧に拾っていく弁護士しか生き残らないし、そうであるべき
それに不満な弁護士は、どんどん廃業すればいい、個人事業主なんでしょ?好きな仕事すればいいじゃんか

・弁護士は、まだまだ恵まれてるよ
開業するのに設備費数千万も掛らないしね
資格の必要な看護師雇う必要も無い

以上:2,336文字

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