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虚偽の嫡出子出生届の養子縁組届出への転換

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平成18年 6月 1日(木):初稿
○「特別養子縁組制度の基礎の基礎」で特別養子縁組制度の沿革、要件等を説明しましたが、この「藁の上からの養子」について虚偽の嫡出子出生届がなされている場合、その出生届をもって普通養子縁組届として認めることができるかと言う問題があります。

○この問題について学説や下級審判例では認める例もありましたが、大審院及び最高裁は一貫して否定してきました。その理由は、①養子縁組など身分行為の要式性の重視、②未成年者養子についての家庭裁判所の関与を重視、③養子と実子の法的効果の違い重視等があります。

○しかし養子縁組への転換を原則として否定しながらも子供の身分の具体的妥当性を図る裁判例もあります。
・貰い受けた子供を長女として虚偽の出生届をして30年余り実質的親子関係が続けてきたのに戸籍上の父が第3者との争いをその子に及ぼして厄介者を排除する如く子供に対し親子関係不存在確認の訴えを出したことについて権利の濫用で許されないとした例(京都地判昭和54.10.30判時960.92)。

・弟夫婦の子を養子にする意図で兄夫婦が実子としての虚偽の出生届をして46年間に渡り実親子と同様の生活関係を続けてきた場合に何ら合理的理由なく突如親子関係を全く否定することが一般の社会通念に照らし信義則上不当と認められるようなときは例外的に嫡出子出生届をもって養子縁組届とみなし、出生届時に有効に養子縁組が成立したと解するのが相当であるとした例(大阪高判平成3.11.8判時1417.74)。

○最高裁が無効の身分行為の転換についてとる慎重な態度は、虚偽の認知届をもって養子縁組届に転換することを認めない点でも貫かれており、認知の届出が事実に反するため無効である場合に認知者が被認知者を自己の養子にする意図があり、その後、被認知者の法定代理人である母と婚姻した事実があっても認知届をもって養子縁組届とみなし有効に養子縁組が成立したと解することはできないとする例があります(最判昭和54.11.2判時955.56)。

○この最高裁の事例を詳しく調査しておりませんが、おそらく実質的親子関係継続が短期間で終了し、子供を養子として保護すべき事情がなかったものと思われます。
以上:908文字

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