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映画「明日への遺言」を観て

平成20年 8月31日(日):初稿
○平成20年8月30日夜、自宅AVルームで発売等同時に購入していたDVDで映画「明日への遺言」を観ました。映画での岡田資中将の潔い態度に感動してネットで岡田資中将に関する情報を検索・閲覧して立派な人も居たものだと益々感動を深めています。岡田資中将に関する情報は、「帝國陸軍~その制度と人事~」と言うHPの「岡田 資」が判りやすいと感じました。

○戦争犯罪とは、ウィキペディア(Wikipedia)によると「狭義には戦争に関する法に違反する行為(交戦法規違反)と戦時反逆罪(作戦地・占領地内における非交戦者による利敵行為)を意味し、広義には交戦法規違反に加え平和に対する罪・人道に対する罪を含めた概念を意味する。」と定義されています。

○具体的には武器を持たない民間人、或いは武器を捨てた捕虜の軍事裁判に基づかない虐待・虐殺が戦争犯罪とされて負けた方の国の軍人が戦争裁判にかけられますが、戦勝国が敗戦国を裁く戦争裁判は、勝てば官軍負ければ賊軍の諺通り、その結果は殆ど見えています。

○岡田資中将とその部下たちは、名古屋大空襲で捕獲された米軍捕虜の内38名を不当に処刑したということで起訴されますが、岡田資中将は、自分がその責任を一身に負い、部下達は助けるとの目的で、「法戦」と名付けて裁判に臨みます。岡田資中将は弁護人と共に名古屋大空襲での米軍行動こそ戦争犯罪であり、捕虜の処刑は戦争犯罪者の処罰であり、戦争犯罪には該当しないと強力に主張し、一貫してその処罰命令を下したのは自分であり、自分が全責任を負うもので実行した部下達には責任がないと主張し続けます。

○岡田資中将とその部下は共犯として起訴されますが、通常共犯の場合、責任を自分以外のものになすりつけて責任逃れを図ることが多く、おそらく東京裁判を初めとする日本軍を裁く軍事裁判では多くの責任のなすりつけあい合戦が行われたものと思われます。そして日本国内での日本軍の犯罪行為調査においても米軍に遠慮しその意向に沿った調査結果が多く出されたようにも見えます。

○敗戦直後において戦時中の米軍の日本民間人に対する絨毯爆撃、最終的には広島・長崎大虐殺を堂々と非難することは勇気が要るものと思われます。ところが岡田資中将は、生き残った被害者を証人として米軍の名古屋大空襲の残虐性・犯罪性を主張・立証し、最後に中将が自ら堂々と米軍犯罪行為として論陣を張ります。岡田資中将の全ては自分が責任を負い死刑を受けることを覚悟して正に肝が据わっていたから出来たものであり、自然体としての潔さが淡々と伝わってきます。

○戦勝国が敗戦国を裁く戦争裁判は一般には結果の見えた茶番劇ですが、岡田資中将の弁護人は手際良く核心を突く証人尋問等を通じて弁護人としての使命を的確に果たしており、また訴追者の検察官も最後は岡田資中将に好意を持ち絞首刑執行前には助命嘆願までし、最後に判決を下す裁判官の苦渋の表情にも人間の温かみを感じ、見終わって爽快感の残る映画でした。
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