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離婚のストレス

平成10年 4月 1日(水):初稿 平成17年 2月 6日(日):更新

離婚のストレスの大きさ-私自身の体験を参考に


 
  ここまで読んで、小松さんも随分苦労しているな、果たして幸せな結婚生活を送っているんだろうかと同情と憐みを感じる男性の方も多いことでしょう。
 ご安心下さい。現在は結婚生活が苦労とは全く思っておりません。私は昭和60年に離婚を経験しました。その時の苦労を思えば前記1から7の自覚など屁とも思わないという実感です。その経験を参考にA弁護士とB女との苦労話を披露します。但しこれはあくまでフィクション-創作-であることを申し添えます。
 
1.自信喪失
 離婚後Aは、極端な自信喪失状態に陥りました。まず人に会うのが嫌になりました。当然弁護士稼業の売上も落ち、弁護士会の会務にも殆ど参加しなくなりました。別れた子供を思い1日1度は涙しました。同じ年頃の子供を見ると泣けてくるのです。こんな状態が2~3年は続きました。
 離婚の厳しさ・そのストレスの強さは当初のAの予想を遥かに超えていました。

2.夜が恐い
 30代半ば近くで一人身となってからのAの最大の苦痛は夕飯でした。炊事の苦手なAの夕飯は外食か店屋物です。人に顔を合わせるのが嫌になっていましたので、外食も避け殆ど店屋物になります。店屋物は限りがあり、しかも味気ないことこの上ありません。今日はどこの店屋物を取ろうかと考える時の苦痛は喩えようもなく、正に夜が来るのが恐怖でした。

3.逃げた前妻への逆恨み
 Aは子供がいたこともあり、又法律家としても離婚理由がないので、離婚は絶対に許されないと考えていました。Bの両親も同じ考えで、離婚を主張して譲らない一人娘に対して最後までやり直しを説得を続けて頂きました。A自身も別居から離婚に至る10ヵ月間、連日のようにBの実家に通い、時に感極まって涙を流しながらやり直しを説得しました。
 しかしAは勿論周りのいかなる説得にも耳をかさず、頑として離婚を譲らず強行したBをしばらくの間逆恨みしていました。生れたばかりの子供がいるのに結婚継続の努力を全くしないで、自分の両親すら反対する離婚要求を通したBを何という我が侭人間であるかと怨み続けたのです。

4.離婚原因の究明
 Aは、自信喪失、恨みつらみの重なりで周りの人々にも馬鹿にされているのではないかとの被害妄想の心境にもなりました。このように離婚後数年間は精神肉体とも悲惨な状況が続き、離婚などすべきではないとしみじみ思いました。自分の離婚後、他人の離婚の事情が良く見えるようになりました。相談を受けると、「あー同じ様なことをしているな」と実感できるのです。
 そして何故離婚に至るのか自分の例、取扱事件の例を通じてじっくり考えました。

離婚の真相-相手を見ていないことの意味



1.当初の誤解
 しばらくの間、AはBとの離婚は、確かに自分にも落度があったが、基本的にはBの我がままから生じたと確信していました。浮気をした訳でもない、暴力を振るった訳でもない、子供も生れた、Bの両親も離婚に反対してくれた。離婚理由はない。普通の人間なら離婚など考えない状況である。だからBは、とんでもない我がまま人間だと考えたのです。

2.誤りの発見
 しかし、この考えは大きな誤りでした。普通は離婚まで考えない状況にも拘わらず離婚を強行されたことが問題です。Bを我がままと評価する前に、いかに自分がBに強く嫌われたかを自覚する必要があるのです。
 Bも希望に燃えて結婚したはずです。何も好んで嫌いになるはずがありません。僅かの結婚期間にこれほどまでに嫌われ、且つ、その事に気付かなかった自分は、いかに相手が「何を考え何と欲していたか」に無頓着であったことか。
 よく考えてみればBは離婚を決意するに至るまでに懸命にSOS信号をAに発していたのです。しかしAは全く無頓着で軽く考え、必死の信号を、必死と気付かなかったのです。

3.重症の自覚
 同じ嫌われるのでも浮気をしたり、暴力を振るったり明確な理由がある方がまだましです。前号で自分は、離婚理由がないと考えるているのに相手から離婚を請求される場合の方が、「相手を見ていない」と言う意味では重症ですと述べたのは以上の理由です。Aの場合も「相手を見ていない」という意味では、重症でした。
 Aがこのことを悟ったのは、離婚後3年も経ってからであり、離婚理由がないと考える夫にこの意味を心から理解して貰うのは至難の業です。

4.参考文献
 以上の離婚例を創作するために離婚に関する多数の文献を参考にしました。離婚に至る女性心理の教材としては池内ひろ美著「リストラ離婚」(双葉社)と森田理子著「ゴメン、また離婚しちゃった!」をお勧めします。両著とも自分の直接体験を生々しく綴っており迫力があって大変面白く、私も一気に読み上げました。興味のある方は是非参考にしてください。
 離婚問題は法律的思考だけでは解決できませんが、次号では少し離婚の要件等の法律の話もする予定です。
以上:2,021文字

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