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離婚訴訟での婚姻破綻の主張と有責性の問題2

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平成20年 2月 8日(金):初稿
「離婚訴訟での婚姻破綻の主張と有責性の問題」で「婚姻破綻の有無は相手方の有責性とは無関係であると言うのが原則」と述べました。実際の訴訟では、離婚を頑として認めず、調停不成立で離婚の訴えを提起された側が、婚姻破綻の原因は全て請求する側にあるので婚姻破綻はしていないとの答弁する例が多いからです。

○しかし「婚姻破綻の有無は相手方の有責性とは無関係であると言うのが原則」とすれば婚姻破綻の主張に対しては婚姻破綻の事実があるかどうかだけが争点になるもので、その原因がいずれにあるかを論じても意味がありません。

○婚姻破綻の認定は先ず相当期間の別居があるかどうかが重要になります。相当期間の別居が継続していればそれだけで婚姻破綻が事実上推定されます。この場合被告側では修復が可能であるとの特段の事情が存在することを主張・立証しない限り離婚請求は認容されます。破綻に至る原因が専ら原告にあると主張しても意味がありません。

○相当期間の別居とは通常数年間の別居継続が要求されますが、例えば別居期間はせいぜい数ヶ月だけで相当期間の別居と評価できない場合に婚姻破綻を認定して貰うためには、離婚を請求する原告としては、別居にプラスして例えば被告の不貞行為、暴行・虐待、重大な侮辱、不労・浪費・借財等の被告の有責行為の存在を主張・立証する必要があります。

○上記の通り相当期間の別居継続で婚姻破綻が認定される場合に被告側で婚姻破綻の原因が専ら原告にあると主張することは婚姻破綻認定の抗弁事実主張にはなりません。しかし婚姻破綻に至る責任を主張することは離婚に伴う慰謝料請求としては大いに意味があります。婚姻を破綻させた側はその破綻の責任があり、債務不履行乃至不法行為に基づく慰謝料支払義務があるからです。

○ですから相当期間の別居継続により婚姻破綻が認定される場合、被告側としては自ら離婚請求の反訴を提起し婚姻破綻の原因を作ったのは専ら原告であるとしその精神的苦痛に対する慰謝料請求をしておく必要があります。これをしておかないと離婚は認められ且つ何らの財産補償も認められない踏んだり蹴ったりの結果になります。

○ところが頑として離婚に応じない側は慰謝料請求をするために離婚の反訴を提起することには拒否反応を示します。何としても離婚は認めたくないからです。この点は離婚請求される側の相談を受けた弁護士としては大いに悩ましいところです。
以上:993文字

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