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不貞行為に基づく慰謝料500万円の請求を棄却した地裁判決紹介

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令和 7年 8月21日(木):初稿
○原告男性と被告女性Bは元夫婦で平成31年1月4日に離婚しましたが、被告Bと被告Cが、平成29年頃から男女の交際を開始し、平成30年頃には不貞行為を伴う関係になったとして、被告B・Cに対し、不法行為に基づき、連帯して慰謝料500万円の支払を求めて提訴しました。被告らは、平成30年頃に不貞行為をしていたとの事実を否認しました。

○長男の親権者変更申立事件で作成された家庭裁判所調査官調査報告書には、長男の陳述として、家によく遊びに来ていた男性がいて、その男性と母との関係性については知らないが、母被告Bとその男性が一緒に風呂に入ったりしていたので、そういう人には来てほしくないと思っていたこと、被告Bは離婚しているので、いいのかもしれないけど、子供の前でどうかと思うことなどが記載されていました。

○この事案について、長男は家庭裁判所調査官の調査において、家によく遊びに来ていた男性がいたという趣旨の陳述をし、証人尋問において、別居直後の平成31年2月頃から、被告Cが被告Bのマンションに来ており、両者は恋人のような関係であった旨を供述しているが、いずれも、原告と被告Bが離婚した後の出来事であるから、上記供述等をもって、被告Bの婚姻中に被告らが不貞関係にあったことが推認されるとはいえないとして、原告の請求を棄却した令和 6年1月29日東京地裁判決(LEX/DB)関連部分を紹介します。

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主   文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求の趣旨

1 被告らは、原告に対し、連帯して、550万円及びこれに対する被告Bについては令和4年7月8日から、被告Cについては同月7日から、それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告Bは、原告に対し、98万8107円及びこれに対する平成31年1月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 原告と被告Bは元夫婦であるところ、請求の趣旨第1項は、原告が、被告Bと被告Cが不貞行為に及んだとして、被告らに対し、不法行為に基づき、連帯して、550万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで、民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

     (中略)

1 前提事実
(1)当事者
 原告と被告Bは、平成14年12月16日に婚姻し、平成17年○月○○日に長男D(以下「長男」という。)を、平成19年○月○○日に二男Eを、平成24年○月○日に長女Fを、それぞれもうけた。
 原告と被告Bは、平成31年1月4日に離婚した。離婚に際して、子らの親権者を母と定めたが、その後、長男については、親権者を父と変更する審判がされた。(甲1、乙3)

(2)解約金の入金

     (中略)

3 争点に関する当事者の主張
(1)不貞行為の有無
(原告の主張)
 被告らは、平成29年頃から男女の交際を開始し、平成30年頃には不貞行為を伴う関係になった。

(被告らの主張)
 否認する。 

(2)損害の発生及び損害額

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 認定事実

 前記前提事実に後掲の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実を認めることができる。
(1)預金口座からの出金

     (中略)

(5)家庭裁判所調査官による調査報告書の記載
 長男の親権者変更申立事件に関して作成された家庭裁判所調査官の調査報告書には、長男の陳述として、妻がいるのに家によく遊びに来ていた男性がいたこと、その男性は毎週火曜日に来ていたこと、被告Bとその男性との関係性については知らないが、被告Bとその男性が一緒に風呂に入ったりしていたので、そういう人には来てほしくないと思っていたこと、被告Bは離婚しているので、いいのかもしれないけど、子供の前でどうかと思うことなどが記載されている。(甲9)

2 争点(1)(不貞行為の有無)について
 株式会社Hの作成に係る調査報告書には、平成31年1月29日午後6時33分頃、被告Cが被告Bとともに被告Bの自宅に入り、同日午後9時56分頃、同自宅を出る様子が記録されているが(前記1(3))、これは原告と被告Bが離婚した同月4日以降の行動であって、これをもって、被告Bの婚姻中に被告らが不貞関係にあったことが推認されるとはいえない。

 長男は、親権者変更申立事件の家庭裁判所調査官の調査において、家によく遊びに来ていた男性がいたという趣旨の陳述をしており(前記1(5))、また、証人尋問において、別居直後の平成31年2月頃から、被告Cが被告Bのマンションに来ており、両者は恋人のような関係であった旨を供述しているが、いずれも、原告と被告Bが離婚した後の出来事であるから、上記供述等をもって、被告Bの婚姻中に被告らが不貞関係にあったことが推認されるとはいえない。

 被告Cが被告Bの自宅を訪問している様子等を撮影した写真(甲15~17、19、20)についても、いずれも原告と被告Bとの離婚後に撮影されたものであり、これらの証拠から、被告Bの婚姻中に被告らが不貞関係にあったことが推認されるとはいえない。また、被告らと被告Bの友人らが平成31年3月29日に交わしたとされる会話(甲22の1、22の2)についても、どのような経緯及び状況で交わされたものか明らかでない上、被告らが被告Bの婚姻中から不貞関係にあったことを前提とするやり取りは交わされておらず、これをもって、被告らの不貞行為を認めることはできない。
 ほかに、被告Bの婚姻中に被告らが不貞関係にあったことを認めるに足りる証拠はない。

 なお、被告らは、被告Cが被告Bの自宅を訪れたのは他の知人も含めた食事会のためであり、被告Bが被告Cに抱き着いている様子等を写した写真(甲15~17、19、20)は悪ふざけが過ぎたものという趣旨の供述をするところ、上記供述は、長男の供述等に必ずしも整合していないが、これらがいずれも被告Bの離婚後の出来事であることは上記説示のとおりであり、被告らの上記供述をもって、離婚前から両者が不貞関係にあったことが推認されるということはできない。

 よって、被告らが、平成29年頃から男女の交際を開始し、平成30年頃には不貞行為を伴う関係になったと認めることはできない。

     (中略)

5 結論
 以上によれば、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求にはいずれも理由がないからこれらを棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第50部
裁判官 小川惠輔
以上:2,746文字

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