令和 7年 9月 7日(日):初稿 |
○「関西学院大学山口亮子氏”アメリカ合衆国の共同監護について”紹介1」を続けます。 ○アメリカでは結婚した夫婦の半分は離婚すると昔から言われてきましたが、その離婚も半分は、紛争性がない離婚のようです。アメリカでは、日本のように当事者だけで離婚届けを行政庁に届ければ離婚が成立する協議離婚は認められず、必ず「裁判手続き」が必要と聞いていました。①紛争性の程度には、紛争性のない離婚が50%と記載されており、日本での協議離婚に相当する離婚が半分のようです。紛争性のない離婚でもアメリカでは裁判所に届けその許可で離婚するようです。 ○メディエーションで解決が10%とありますが、日本で言う調停離婚と思われます。②高葛藤への対処を見ると、アメリカでは、きめ細かい対処法を設定しているようです。「子どもの代理人」制度は、「親が直接子に父母の選択をさせることは子の利益にならないとされ、精神科医等による子の調査、裁判官室でのヒアリングにより子の意思の調査が行われる。弁護士は子の意思または子の利益を代理して、裁判所で主張を行う。」とあり、なかなか良い制度と思いました。 ********************************************* 3. 高葛藤事案に対して ①紛争性の程度 紛争性のない離婚50%、 争いはあったが解決30%、 メディエーションで解決10%、 調査後解決5.2%、 裁判中解決2.2%、 裁判官による判決1.5% ②高葛藤の場合 ・ DV、親密圏の暴力: シェルターへ避難する。裁判所で緊急保護命令を得て、子の監護権、養育費・生活費・治療費支払い命令を得る。 離婚時の養育計画書作成は相手方と協議せず、各自裁判所に提出する。 ・ PA(片親疎外): 裁判所での認定が困難。DV加害者のでっち上げと非難される。PAに対して監護権変更を申し立てる場合がある。 ③高葛藤への対処 ・ DV教育: 裁判官、法律家、弁護士、エヴァリュエーター、DV保護施設職員、法学生等へのDV教育を州法で義務づけている。 ・ DV加害者への監護権付与制限: DV加害者への監護権付与は子の最善の利益とはならないと推定する州法が広がっている。 ・ 医的介入: DV・虐待加害者はDV・虐待治療終了まで面会交流の制限。PAに対する治療的介入、引き離された親子の再統合。 ・ 第三者による支援: 虐待加害者と子の面会交流に対して第三者機関の監視、送迎。 ・ 履行義務違反に対する法的措置: メディエーション、養育計画の再構成、裁判所侮辱、損害賠償、監護権変更。 ・ 子どもの代理人: 親が直接子に父母の選択をさせることは子の利益にならないとされ、精神科医等による子の調査、裁判官室でのヒアリングにより子の意思の調査が行われる。弁護士は子の意思または子の利益を代理して、裁判所で主張を行う。 4. 意見が対立した場合の調整方法や解決の実情 ・ 事前準備: 養育計画書に、意見が対立した場合の解決方法を取り決める。 ・ 養育計画書再作成の支援: 各自治体が提供するガイダンス、子の年齢別・両親宅の距離別等の計画案、養育計画書コーディネーター、アドバイザー、マネジャー等による支援。弁護士、メディエーション等の第三者による仲介。 ・ DVがある場合: 養育計画書作成は協議せず、個別に記入して裁判所へ提出する。 以上:1,392文字
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