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2017年11月01日発行第208号”代言人はなぜ弁護士に進化したのか”

平成29年11月 2日(木):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成29年11月1日発行第208号「代言人はなぜ弁護士に進化したのか」をお届けします。

○弁護士のルーツは、江戸時代には公事師と呼ばれていたように記憶していました。しかし、ウィキペディアの解説では、「公事師(くじし)とは、江戸時代に存在した訴訟の代行を業とした者。出入師(でいりし)・公事買(くじかい)などとも呼ばれる。明治期に代言人制度を経て日本における弁護士制度の源流となったとされているが、現在の事件師にあたるもので、その性格や社会的評価は大きく異なる。」とされています。

○「江戸幕府は公事師を不法な存在であるとして取り締まりの対象としている。」とも説明されており、「三百代言」とも呼ばれた「代言人」同様まともな職業とは評価されていなかったようです。「代言人の地位は決して高くはなく、軽蔑されることも多く、また、初期にはきちんとした資格制度が存在していなかったために、中には悪質な者も存在した。」とも説明されています。

○刑事事件についての当番弁護士制度は、究極の「救急車の追いかけ」との表現は、言われてみると正にその通りですね。私は刑事事件は平成20年に引退宣言をして以来、原則として受任していません。当番弁護制度が全国の弁護士会で実施されたのは平成4年からで、私もこの制度にちと疑問を感じましたが、10数年担当しました。しかし、今や、当番弁護士制度は若手弁護士が刑事事件を受任する最大のきっかけとして重宝されているようです。

○職業としての弁護士は、「代言人」時代よりは遙かに地位が高くなり、一時は「医者」か「弁護士」かの憧れの職業になりました。ここ10年程、大増員政策で「弁護士」の社会的地位は急速に低下しましたが、やり方次第では結構な利益を得られる職業であり、それを実践している弁護士も多く居ます。大山先生も、その一人であり、その創意・工夫を見習いたいところです。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

代言人はなぜ弁護士に進化したのか


「恐竜はなぜ鳥に進化したのか」という、生物の進化についての本があります。今から5億4000万年ほど前のカンブリア紀に、多種多様な生き物が発生しましたよね。いわゆる「カンブリア大爆発」です。その後、沢山の生物が死滅し、新たな生物が生まれてきます。なぜ、こんな風に生物の入れ替わりが起こったのかについて、これまでにも様々な仮説が立てられています。そんな中この本では、空気中の酸素の濃度によって、生物の進化が起こるといった仮説が提示されます。

昔の地層を調べていくと、各年代の酸素濃度が分かります。現在の酸素濃度は20%程度ですよね。しかし、カンブリア紀以降、酸素濃度は35%から11%の幅で大きく変動しているそうです。そして、酸素濃度が大きく変わるときに、それまでの生物の絶滅、新たな生物の発生が生じているというわけです。生物というのは、生存に必要な酸素を処理する呼吸器官に適合して、変化していくのではないかという、大変面白い話です。考えてみますと、何か変化が起こるときには、それぞれの「酸素濃度」みたいなものがありそうです。

話は変わりますが、子供の中学受験に関連して、学校の難易度をみたりします。そうすると、以前はあまり評判の良くなかった学校が、難易度の高い学校に「進化」している例が数多くあるようです。「進化」の理由として、男子校を共学に変更するというのがあります。それに加えて、昔は「000商業学校」みたいな名称だったのを「000学院」なんて名称に変更している例も多くあります。学校が「進化」するかどうかにあたり、「名称」が「酸素濃度」の役割をしていそうです。

というわけで、日本の弁護士の話です。弁護士は、明治以降に西洋から輸入された制度ですよね。最初は「代言人」と呼ばれていたんですが、このときは、ろくな職業じゃないと思われてました。「三百代言」なんて言葉もあります。口先だけでいろいろ言って、人を言いくるめる職業というわけです。ところが、名称が「弁護士」に代わってから、「困っている人を助けて、人権を守る」、とっても素晴らしい職業のように思われてきたのです。

弁護士は英語で、法律上の代理人(Attorney at law)といいます。大体どの国でも似たようなものですから、「代理人」や「代言人」の方が、国際的には正しい名称です。ところが、名称が「弁護士」に「進化」したおかげで、とても得をしているように思えます。

アメリカなどでは、弁護士(Attorney at law)についての批判が強いですよね。困っている人を食い物にするなんていうイメージもあります。弁護士について、「救急車を追いかける人(ambulance chaser)」と呼ぶ悪口は有名です。救急車の後をついていき、被害者を見つけると「損害賠償しましょう!」と話を持ち掛けるわけです。ただ、これなんか私は、ケガなどして困っている人を法的に助ける行為なので、非難だけするのはおかしいと思っています。しかし、アメリカでも日本でも、世間の目は厳しいようです。

ところが日本には、弁護士会が始めた、当番弁護という制度があります。これは、逮捕後に警察などで勾留されている被疑者のところに弁護士が訪問する制度なんです。身体拘束されている被疑者の人権を守るための制度ではあるんですが、これって見方を変えると、究極の「救急車の追いかけ」ですよね。困っている人のところに弁護士が行って、法的サービスを堂々と売り込める制度ですから!

うちの事務所はかなり刑事弁護をしてますが、家族から依頼された事件を、当番弁護士の人に切り替えられたことは何度もあります。客観的に見れば「救急車の追いかけ」なのに、これが素晴らしいことのようにいえる日本の弁護士。「代言人」から「進化」した「弁護士」という名称に相応しい活動をしていきたいと思ったのです。

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◇ 弁護士より一言

小学6年生の息子は、受験生だというのに、どうにも頼りないのです。「今日の試験できたよ!」なんて報告してきます。「それは良かった!」と喜んでいると、息子は元気に「平均点は超えたな!」なんて教えてくれます。そ、それって出来たのかよ!

息子の成績が一気に「進化」する「酸素濃度」が何かないか、親として知りたいと思うのでした。。。
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