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2020年02月1日発行第262号”弁護士の孟母三遷”

令和 2年 2月 2日(日):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和2年2月1日発行第262号「弁護士の孟母三遷」をお届けします。

○私が弁護士になった昭和55年当時は、修習が終わるとどこかの法律事務所に「イソ弁」として勤務するのが普通でしたが、勤務せずいきなり事務所を開業する弁護士も結構居たと聞いています。特に支部で開業する場合、勤務弁護士を採用する事務所が殆どないためいきなり独立する例が多かったようです。

○それでも弁護士の絶対数が少なかったため何とか食べることはできました。ですから経験の長い弁護士ほど、弁護士経験以外の社会経験がないまま弁護士稼業を継続してきた人が多いと思われます。私自身、修習終了後は、直ぐに郷里気仙沼で独立開業する予定でした。当時、気仙沼には弁護士が2人だけで、3人目が入っても十分に食べていけると考えたからです。

○ところが、たまたま修習した法律事務所の先生から勤務を強く薦められて2年1ヶ月勤務しました。2年で独立する予定が1ヶ月延びたのは所長が体調を崩したからでした。2年仙台で勤務弁護士を経験したら仙台でもなんとか食べて行けそうだとなり、仙台で独立して現在に至ります。

○私の勤務先の沼波義郎先生は、大変、業務に熱心な方で、特にお客様の声を良く聞いて、できる限りお客様に有利な理屈を考えて、お客様のために徹底的に頑張る方でした。そのため相手方の弁護士からは、時に煙たがられる存在でもありました。私もお客様のためにそこまで考えるのか、ちとやり過ぎではと思うこともありました。しかし、40年の弁護士稼業を経て、沼波先生のお客様第一の姿勢の重要性を実感しているところです。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士の孟母三遷


孔子と並ぶ中国の聖人、孟子です。例え話が得意な人です。「助長」の話なんか有名です。「助長」というのは、文字とおり「成長を助ける」という意味ですね。畑に種を蒔いたところ、芽がでてきましたが、どうも成長が遅い。そこで、成長を助けようと、芽を摘まんで無理やり引っ張り上げたところ、作物は全て枯れてしまったという話です。

馬鹿なことをする人もいたものだと思う一方、「助長」したくなる人の気持ちも分かるのです。うちの次女は、赤ちゃんのときにハイハイが上手く出来ませんでした。「なんで?」と心配していたら、そのうち立って歩きだしたんです。そんなことを思い出して、先日娘に「今はもうハイハイできるよね?」と思わず聞きました。「そんな恥ずかしいことできるわけないでしょう!」と怒られちゃいました。

孟子関連で一番有名なのは、「孟母三遷」の話です。孟子のお母さんは大変な教育ママだったようです。お墓の近くに住んでいたとき、孟子はお葬式のマネばかりしている。そこで市場に引越したら、今度は商人のマネばかりすする。そこで、もう一度、今度は学校の側に引越したところ、孟子は勉強をするようになり、最後は偉い学者になったという話です。

環境によって、人は大きく影響を受けるのだという話ですが、私自身これは絶対にその通りだと思います。現代でも、「お金持ちになりたければ、お金持ちと友達になれ。」と言います。勉強ができるようになりたければ、そういう人たちの側に行くことが大切です。よく、田舎の高校から、東大に行く人が一人でると、その後何人も続けていくようになるなんて話を聞きます。周りの影響で、「あいつが出来るなら、自分だって!」と思うと、本当にできてしまうんでしょうね。ことほど左様に、環境の力は大きいのです。

弁護士の仕事で言いますと、少年事件など特に周りの環境の重要さを感じます。悪い仲間から引き離さないと、更生は難しい。その様な環境準備のお手伝いをするのも弁護士の仕事です。少年院などに行くと、少し悪かった少年が、周りに影響を受けて、1人前のワルになって戻って来るなんて言われてます。

周りの環境が大切だというのは、弁護士にも当てはまります。法律家になるには、司法試験に受かってから研修をします。その後、裁判官、検察官、弁護士とそれぞれの道に進みます。同じような教育を受けても、何年か経って会うと、裁判官はいかにも裁判官に、検察官はいかにも検察官らしくなっているのです。

弁護士内部でも、こういうことは言えます。弁護士は、修習が終わると、通常どこかしらの法律事務所に勤めます。社会人経験は、その事務所だけなんて弁護士は沢山います。それだけに、勤務した法律事務所の影響を強く受けるのです。お客様にどのように接すればよいのかとか、信頼を得るためには何が重要かなどは、ロースクールでも司法修習でも教えてくれません。入った事務所で、見よう見まねで覚えていくしかないんです。

弁護士会の仕事を熱心にやる事務所に加入した弁護士は、やはり同じようになります。そういう弁護士はまた、人権活動にも熱心な人が多いようです。ところが、そういう弁護士でも、事務員さんや勤務弁護士の労働条件が劣悪だったり、依頼者に対して、お客様とも思わないような対応をすることもよくあります。悪しき「伝統」も引き継がれるようですか。弁護士も孟母三遷に倣って、良い事務所を探すことが大切かもしれません。私も事務所の若手を、「助長」しないよう気を付けながら、「顧客第一」の弁護士には育てていきたいと思うのです。

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◇ 弁護士より一言

中学生の息子が、スキー合宿に行くのを怖がって、「遭難するかも!」なんてあほなことを言うので聞き流していたら、祖母(私の母ですね)から電話がありました。「嫌がっているんだから、風邪をひいたことにして、休ませたらどうなの?」な、なんなんだ!私が子供の頃に、病気を理由にサボろうとしたら、凄い怒ったくせに。。。孟母も、子供が三文安にならないように注意してたかもしれませんね。息子は「意外に楽しかったよ!」と元気に帰宅してきました。
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