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2020年06月16日発行第271号”結婚弁護士の一人説(2)”

令和 2年 6月17日(水):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和2年6月16日発行第271号「結婚弁護士の一人説(2)」をお届けします。

○大山先生の博学ぶりにはいつも驚かされます。リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」なんて全く知りませんでした(^^;)。ウィキペディアでは「1970年代の血縁選択説、社会生物学の発展を受けてジョージ・ウィリアムズ、E・O・ウィルソンらによって提唱された。イギリスの動物行動学者リチャード・ドーキンスが1976年に、『The Selfish Gene』(邦題『利己的な遺伝子』)で一般向けに解説したことが広く受け入れられるきっかけとなったため、ドーキンスは代表的な論者と見なされるようになった。」なんて解説されています。

○大山先生の「結婚していない『妻』は、労働法で守ればよい」とのお考えですが、労働法は不勉強な私は、次号で、具体的適用場面も解説頂ければ、大山説に1票入れても良いです。自分の頭で考えてくださいと言われそうですが(^^)。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

結婚弁護士の一人説(2)


偉大な学説の場合、たった一人の人が始めた「一人説」でも、世間に受け入れられていきます。ドーキンス博士の「利己的な遺伝子」なんて、私も本当に感動しました。人間の世界について考えるのに、それまでは「人間」に焦点を当てていましたよね。当たり前のことです。しかしドーキンス大先生は、人間は遺伝子の「乗り物」に過ぎないと考えて、遺伝子レベルで物事を考えることを提唱したんです。一般常識からはかけ離れていますが、今ではドーキンス博士の理論は、一人説から多数説へと発展しています。

というわけで、私も偉大なドーキンス博士の真似をして、一人説を考えたのです!ドーキンス先生によれば、「人は、遺伝子の乗り物に過ぎない」わけですが、私の一人説によれば、法律制度としての結婚は、「男女は、財産の乗り物に過ぎない」という思想で作られたものなんです。(本当かよ!!)これって、西洋近代市民社会での結婚制度では常識だったはずです。

日本でも、戦前の家督相続のもとでは、結婚は家と家を結びつけるものでした。そういう中では、結婚制度が財産移転制度だなんて、当たり前のことでした。もちろん結婚自体は、男女が愛情をもって、合意のもと成立するものです。しかし、法律制度のとしての結婚は、それとは別物だったということです。ただ、「結婚制度の本質は財産移転のルールにあり」というのは、私の一人説というよりも、ある意味法律家にとっては常識でもあるんです。

私が40年ほど前に、大学に入って婚姻法の講義を始めて受けたときに、「法律家にとっては、婚姻の法律は、相続法の前提として、一番大きい意味があるんだ」と教授が教えてくれたのを覚えています。もっとも、世間一般の人も、この「結婚においては、人は財産の乗り物に過ぎない」という考えを、無意識にでも理解しているように感じます。世間では、「日本では一夫多妻制度が禁止されている。」なんて言われてます。人によっては、日本でもそういう制度を認めるべきだなんていう人もいます。

しかし、これは凄い誤解ですよね。日本でも事実上一夫多妻は全然問題なく出来ます。実際に、そうしているような人は沢山います。日本の制度では、「財産の移転が認められている結婚」を、複数の人とは出来ないというだけです。「一夫多妻制」については、非常に誤解が大きいように思えます。「一夫多妻制度が禁止されていることで、甲斐性があって魅力的な男性が不利益を被っている。」なんて意見を聞いたことがあります。

でも、私に言わせれば、これはまったくの間違いです。問題は、現在の日本では、法律上の結婚をしない限り、経済的に弱い立場の人(通常は女性です)は、財産移転を伴う法的保護が全く与えられないことにあるのです。

ということで、私の一人説です。これまで事実上野放しで行われていた「一夫多妻」の関係を、経済的に弱い立場の「妻」を法律で守るべきだということですね。もともと、結婚法と労働法は類似点が多いと、前回説明しました。それなら、結婚していない「妻」は、労働法で守ればよいと考えたのです。雇用主が多数の従業員を持つように、多数の「妻」を持つこともできますが、労働法が適用される中、妻の側も、嫌になったら、いつでも「退職」できます。

結婚の場合は、妻も自由に離婚はできませんが、労働者なら好きに辞められるんですね。その一方、雇用主の側からの一方的な「解雇」はできないので、「妻」の立場も安定します。給与も残業手当も有給休暇もありますので、現状よりもずいぶんと良くなるように思えます。私としては、「なかなか良い考えだな!」と思う一方、これは永久に一人説のままだろうと確信しているのです。。。

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◇ 弁護士より一言

こんな笑い話があります。売れない作家が友達に自慢したんです。「僕の本の読者は、最近2倍に増えたんだよ。」それに対して友人が答えます。「おめでとう!結婚したんだね。」
私の「結婚についての一人説」も、妻がいるお陰で、きっと二人説にはなれるはずです!一夫多妻だなんて、身の丈に合わないことを考えずに、妻に感謝し続けます。
以上:2,258文字

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