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2021年12月01日発行第306号”弁護士の審判”

令和 3年12月 1日(水):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和3年12月1日発行第306号「弁護士の審判」をお届けします。

○カフカの「審判」と言う小説の存在は知っていましたが、勿論、読んだことはありません(^^;)。ウィキペディアでそのあらすじだけ読んでみましたが、内容を理解するのは難しそうだなと感じて、読む気になりません。しかし、「審判」を題材に取り上げた「コムロ・K」さんの話しは、全く同感です。

○「偉人・有名人の結婚に関する名言・格言紹介-眞子様結婚報道雑感」で、「30歳近い当事者が決めたことですから、当事者の意思に任せるしかありません。」と感じながら、「不合格で就職できないことも覚悟の上での結婚実行なのかも知れません。だとすると正に『冷静さを欠如して低下した判断能力』としか思えません。」とも記載していました。

○しかし、実際、「コムロ・K」さんが不合格になると、実は眞子さんは、「コムロ・K」さんの不合格を予想したからこそ結婚を急いだとしか思えなくなり、不合格を予想して意思を貫く眞子さんに却って感服しました。それを第三者がとやかく言うのは妬みとしか思えません。

○私の感覚では、よりによって皇室の女性に手を出すなんて、奇特この上なく、希少価値の方と思います。私みたいな小心者では、到底考えられません(^^;)。それをよってたかって叩き続けるマスコミには辟易としていました。母親の借金問題も、あのような男性と婚約した母親自身の問題であり、コムロ・Kさんには何の関わりもありません。なんでコムロ・Kさんが非難されるのよとの思いでした。大山先生の論説に全く同感です。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士の審判


「審判」といえば、フランツ・カフカの長編小説ですね。第1次世界大戦前に書かれていますから、もう100年以上前の小説です。若い頃に読んだとき、内容はよく理解できなかったんですが、主人公の名前がヨーゼフ・Kだということだけ記憶に残りました。30歳のKさんが、一体何の罪を問われているのかさえ教えて貰えないまま、逮捕され、裁判を起こされます。ヨーゼフ・Kは色々と弁明したり、弁護士に依頼したりするんですが、最後に処刑されてしまいます。

今回、なぜヨーゼフ・Kを取り上げたかと言いますと、勘の良い人は気が付いたと思います。現代日本でのコムロ・Kさんです。この人もヨーゼフさんと同じく、30歳なんです。コムロ・Kさんに対する、「マスコミ裁判・ネット裁判」の不条理さが、ヨーゼフ・Kの裁判と似ているように思えたんです。コムロ・Kも、結局のところ、どんな罪を犯したのかよく分からないのに、マスコミ裁判にかけられます。「親の借金罪」とか「皇室との結婚生意気罪」みたいな犯罪があるのではと、錯覚に陥りそうになるほど、多くの人から非難されてるんです。大体、皇室とはいえ、よその家の娘さんと結婚する人のことを、よくもまああんなに色々と言えるものだと感心してしまいます。

カフカの「審判」に戻りますと、ヨーゼフ・Kという人は、あまり人に好かれる人ではないようです。裁判の場で、自分がいかに正しいかを強調し、今回の裁判が陰謀に違いないなんて演説を、長々と始めます。これによって、傍聴している人の反感を買ってしまうのです。でも、これ今の日本の裁判でもよくある話なんです。少し前に、交通事故で死傷者を出した人が、「上級国民」だなんて非難された事件がありましたよね。ブレーキとアクセルを踏み間違えての犯行だとされています。ところがこの「上級国民」は、自分は正しいと主張して、「事故は自動車会社の責任だ!」みたいな話をしていました。事故自体に加え、こういう態度が多くの人の反発を買って、重い処分になったような気もします。コムロ・Kさんの場合も、長くて言い訳がましい説明文なんて出すから、ますます反発を買うことになったのは間違いないでしょう。

ところで、ヨーゼフ・Kさん、弁護士を付けてませんでした。そこで心配した叔父さんが、友人である弁護士を紹介してくれます。弁護士の立場からすると、こういう風に紹介でくるお客様は有難いんです。身元がしっかりしているので、安心して業務ができます。紹介客の事件しかやらないなんて弁護士、少し前までは日本にも相当数いました。その一方、紹介で来たお客さんが、とても困った人だなんてケースもあります。紹介者の手前、辞めたくても辞められない。ヨーゼフ・Kの場合、弁護士のところのお手伝いさんと関係をもったりと、やりたい放題です。

こんなのと比べたら、日本のコムロ・Kさんなんか、とてもまともな人に思えます。(比較するなよ!)更にヨーゼフ・Kは、裁判がちっとも進行しないとイライラして、弁護士に不満をぶつけます。こういうお客さん、うちの事務所でもいました。裁判の進行は、弁護士にはどうにもできないことですから、非難されても困ります。もっとも、カフカの「審判」の場合、裁判の進行は、現代日本での裁判と比べて凄く早いんです。

ヨーゼフは30歳の誕生日に逮捕され、そこから判決を受け、処刑されたのが30歳最後の日です。1年で全て終わるスピード裁判です。日本の場合、死刑判決となりますと、最終的に判決が確定するのに数年はかかります。さらに、死刑執行されるまでに、数年以上かかるのです。オウム真理教事件のときに、あまりに裁判に時間がかかるから、「まずは処刑してから、それから裁判しろ!」なんて無茶苦茶をいう人までいました。何にしても、コムロ・Kさんの方は、ヨーゼフ・Kと違い、処刑されることもなく、無事に結婚できて良かったなと思うのでした。

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◇ 弁護士より一言

小室圭さんの、借金問題等への説明文というのが、一時話題になりましたよね。あまりに長いので、私は読むのを諦めました。でも、やはり目を通したんだという娘から言われたんです。

「パパ、自信を持って。小室さんの文章より、パパのニュースレターの方が断然面白いよ!」褒めて貰えた嬉しさより、「何で比較しようと考えたんだよ!」と思ったのでした。
以上:2,599文字

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