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新司法試験の制度的大欠陥-それは受験回数制限

平成20年 7月26日(土):初稿
○私は法科大学院卒業を前提とする新司法試験制度には猛反対でしたが、先日、「司法試験予備試験紹介-初めて知りました」に記載した通り、司法試験予備試験なるものがあることに始めて知り、この予備試験を活用すれば新司法試験制度の欠陥を少しは是正できることに気付きました。あるとき新60期の新人弁護士にこの予備試験の存在を知っていたか聞いてみたら、全く知らないとのことで、世間には余り知られていないようです。

○しかし、流石にある有名司法試験予備校では、平成14年の司法試験改正に伴い司法試験予備試験も新設されることは熟知しており、将来の予備校の主力顧客層として、司法試験予備試験受験者も入れるかどうか激論し、結局、当時はどのような試験内容になるかもハッキリせず,何より開始が平成23年とズッと先になっているため、おそらくこの試験を目指す人は少ないであろうとの結論で、司法試験予備試験受験者は顧客層から外そうということになったそうです。

○司法試験予備試験は合格者に法科大学院卒業資格即ち新司法試験受験資格を与えるものですが,この新司法試験5年間に3回以内の受験で合格しなければ受験資格を失うとの厳しい条件がつけられています。私は、この5年間に制限することは何とか我慢できますが、受験回数を3回に制限することに一体何の意味があるのか、いつも疑問に思っています。

○3回との制限をつけることによって、受験資格者は自信が無いと2年間は受験を放棄できます。極端な場合、法科大学院卒業1、2年目は受験放棄し、卒業3年目から3年間3回の受験で合格を目指すことになります。この場合受験しない最初の2年間は大変な無駄に過ごすことになることは明白です。

○人間、馬力を出せるのは、目の前に受験が迫っているときが一番です。受験を放棄して3年目からの受験を目指した場合、受験が遠い先にありますのでどうしても馬力が出ず,真剣に勉強しません。私の受験当時、択一(短答式)試験は、5月の第2週日曜日、論文試験は6月下旬と決まっていました。択一試験と論文試験の直前1ヶ月間は、受験直前時期のプレッシャーで、正に死にものぐるいで勉強に励むことを自ら強要される状況であり、またこの時期の猛勉強が、試験に合格すると否とに拘わらず、実力を格段に上昇させてくれました。

○ですから試験は受験すること自体に大きな意義があります。然るに受験回数制限によって受験を放棄することは,この試験直前の追い詰められ、否が応でも猛勉強をせざるを得ない機会を失うことであり、折角の実力向上の機会を逃すことです。そうは判っても5年間の期間があっても3回受験失敗で受験資格を失うとあれば、自信が無いと受験を放棄するのも人情として自然です。

○5年間受験期間があるなら、5回受験させて、受験直前の実力向上機会を5回与えるべきと私は願っていますが、新司法試験合格者の質の低下等の噂を聞くにつけ、受験者全体の実力底上げのためにも、新司法試験受験資格者には、5年間5回の受験機会を与えて欲しいものです。
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