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弁護士業務の難しい点ー価値観押し付けは避けるべきだろうが

平成23年11月 9日(水):初稿
○我々弁護士の仕事は,先ずお客様から相談を受け、相談の回答をして、必要に応じて着手金を事件として受任して、事件の結果の成果に応じて報酬金を頂くことが,大原則で、先ず、仕事のスタートの相談があります。その相談で、お客様Aさんが、その相手方Bさんに対し、形式的には何らかの請求権があるけれども、その権利行使が、果たして、本当にそのお客様のためになるかどうか疑問に感じることがよくあります。

○典型例は、Aさんの配偶者甲さんが、Bさんと浮気をして、Aさんがいきり立ってBさんに対して精神的苦痛に対する慰謝料請求をしたいが、配偶者甲さんが、浮気を反省してBさんとの関係を断つとAさんに約束し、Aさんも甲さんとは、今後、仲良くやっていきたいと思っている場合です。

○私は,「不倫問題」等に繰り返し記載していますが、「間男・間女?の責任に関する最近の学説概観」等を掲載して、間男・間女?無責任説の立場に立ち、間男・間女?に対する慰謝料請求の仕事は原則としてしないことにしています。この他に原則としてしない仕事は、交通事故加害者側の事件です。これは、いずれも自分の価値観に基づく仕事の選別であり、サービス業者としては、如何なものかとの考えもありますが、自己の価値観に反することを仕事と割り切って、粛々とこなせる器用さが私にはないため、この分野でお客様に最高のサービスは提供できないことを理由にお断りしています。

○ですからこのような相談を受けたときは、「不倫の法理相談-基本」に記載した法律関係の基本を説明し、さらに、最近の学説・判例の傾向等を説明し,必要に応じて、私のHPの該当部分を印刷して差し上げます。そして、配偶者の不倫相手に対する慰謝料請求は、現時点では、基本的には認められており、殆どの弁護士は仕事として取り扱ってくれるので、仙台弁護士界法律相談センターで紹介してくれるはずで、また、必要とあれば私が信頼できる弁護士を紹介しますとも付け加えます。

○このような不倫に関する相談としては、平成11年に書いた鶴亀通信の「不倫の法律」の「掲示板から」の記載例のように、不倫相手に対する請求権の行使は、現在の配偶者との関係を悪化させるだけで、また、相手の支払能力等の問題で請求しても全く実にならなず、第三者の冷静な目で見ればそんな請求は、骨折り損の草臥れ儲けであり、馬鹿馬鹿しいから止めた方がよいと思う事案が多くあります。

○そこで、馬鹿馬鹿しいから止めた方がよいですよとアドバイスしても、ご本人は相手方憎しの信念で凝り固まって、アドバイスを聞く耳を持てなくなって、何としても請求したいと言い張ります。要するに,何も実にならなくても良い、兎に角、相手方に何らの圧力をかけないことには気が済まなくなっています。この圧力をかけることで、自分の配偶者との関係がうまく行かなくなることにまで気が回りません。

○時に慰謝料請求はしなくても良いです、兎に角、相手に今後一切自分の配偶者に連絡取らないことを弁護士さんの名前で出して頂きたいなんて依頼をされることが、時にあります。確かに限りなく黒に近いけれども、不貞関係の客観的立証資料もなく、不貞なんてしていないを開き直られた場合、訴訟では、立証が相当困難な事案で、配偶者だからといって他方配偶者に「一切連絡を取るな」と請求する権利はありません。残念ながらこのような依頼はお断りせざるを得ないのですが、お客様があれだけ思い込んで切実に依頼を受けることを希望しているのに応じないのはサービス業者として失格だなと忸怩たる思いになることもあります。
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