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不動産引渡(明渡)執行時における目的外動産の処理方法覚書1

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平成26年 9月 8日(月):初稿
○土地建物明渡等不動産強制執行時において通常建物の中或いは敷地内に執行の目的となっていない動産があります。20年程前に一戸建て貸家について家賃滞納により明渡訴訟を提起して判決を得てもなお債務者一家が居座っているため明渡執行をかけたことがあります。一戸建て貸家の中には債務者所有の大量の家財道具等動産類がありました。

○当時取られた手続ですが、明渡執行申立を受けた執行官は、債務者居住建物を訪れ1ヶ月程度の期間をおいて明け渡すこと、明け渡さない場合強制執行を実施する旨説明し、その旨記載した文書を置いて帰り、債権者に対しては明渡期限が近づいても明け渡す様子が見られない場合、債権者において明渡のため動産類を搬送する作業員と搬送先倉庫を準備して下さいと指示しました。

○明渡期限が近づいても明け渡す様子がないため債権者において執行官指示通りの準備をして、明渡期限日時に執行官の名において建物内に入り、一戸建て建物内債務者保管の寝具等生活用品を含む大量動産類を準備した貸倉庫に保管し、執行官は債務者に対し1ヶ月以内にその大量動産類を引き取ること及び引き取りがない場合競売に付する旨を説明する文書を交付しました。

○しかし1ヶ月を経ても債務者は倉庫の保管した大量動産類を引き取りに来ないため改めて売却期日を定めてその期日に競売を実施して滞納家賃についての債務名義を有する債権者が競落し、速やかに廃棄物処理業者に依頼して廃棄しました。この間、債権者は大量動産類について搬送作業員への日当支払い、倉庫保管料、廃棄物処理費用等で50万円を超える費用がかかりました。

○これが平成15年の民事執行法改正で、執行対象不動産の中にある目的外動産を明渡執行と同時に売却できる制度が導入されました。以下、その関係条文を掲載します。大変複雑で一読しただけではなかなか理解出来ません。しかし法律家は条文が基本であり、条文をキッチリ読み込まなければなりません。この条文の解釈等は別コンテンツで説明します。


(不動産の引渡し等の強制執行)
民事執行法第168条(不動産の引渡し等の強制執行)
 不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
2 執行官は、前項の強制執行をするため同項の不動産等の占有者を特定する必要があるときは、当該不動産等に在る者に対し、当該不動産等又はこれに近接する場所において、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。
3 第1項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。
4 執行官は、第1項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
5 執行官は、第1項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。
6 執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
7 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。
8 第5項(第6項後段において準用する場合を含む。)の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。
9 第57条第5項の規定は、第1項の強制執行について準用する。

民事執行規則第154条の2(強制執行の目的物でない動産の売却の手続等)
 法第168条第5項後段(同条第6項後段において準用する場合を含む。)の規定による売却の手続については、この条に定めるもののほか、動産執行の例による。
2 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行の申立てがあつた場合において、法第168条の2第1項に規定する明渡しの催告を実施したときは、これと同時に、当該申立てに基づく強制執行の実施予定日を定めた上、当該実施予定日に強制執行の目的物でない動産であつて法第168条第5項の規定による引渡しをすることができなかつたものが生じたときは、当該実施予定日にこれを同項後段の規定により強制執行の場所において売却する旨を決定することができる。この場合において、執行官は、売却すべき動産の表示の公告に代えて、当該実施予定日において法第168条第5項の規定による引渡しをすることができなかつた動産を売却する旨を公告すれば足りる。
3 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行を行つた日(以下この項において「断行日」という。)において、強制執行の目的物でない動産であつて法第168条第5項の規定による引渡しをすることができなかつたものが生じ、かつ、相当の期間内に当該動産を同項前段に規定する者に引き渡すことができる見込みがないときは、即日当該動産を売却し、又は断行日から1週間未満の日を当該動産の売却の実施の日として指定することができる。この場合において、即日当該動産を売却するときは、第115条(第120条第3項において準用する場合を含む。)各号に掲げる事項を公告することを要しない。
4 前項の規定は、高価な動産については、適用しない。
5 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行の申立てをした債権者に対し、明渡しの催告の実施又は強制執行の開始の前後を問わず、債務者の占有の状況、引渡し又は明渡しの実現の見込み等についての情報の提供その他の手続の円滑な進行のために必要な協力を求めることができる。


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