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不動産引渡(明渡)執行時における目的外動産の処理方法覚書2

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平成26年 9月 9日(火):初稿
○「不動産引渡(明渡)執行時における目的外動産の処理方法覚書1」を続けます。
平成15年民事執行法改正後の不動産引渡(明渡)執行時における目的外動産の処理方法は、大阪弁護士協同組合不動産執行講座建物明渡の実務14頁以下の記述によると、利用頻度順では次の通りです。

①規則154条の2第1項に基づき動産執行の例により売却する。
これは、約1ヶ月間の期間を定めて保管し、その間に引き取りがなければ売却するというもので、従前からの方法です。1ヶ月の保管料は実質債権者の負担で、費用がかかりすぎると批判されていた方法ですが、改正後もこの方法が一番多いようです。
民事執行規則第154条の2(強制執行の目的物でない動産の売却の手続等)
 法第168条第5項後段(同条第6項後段において準用する場合を含む。)の規定による売却の手続については、この条に定めるもののほか、動産執行の例による。


②民事執行規則第154条の2第3項に基づき即日売却する。
この方法だと明渡断行日にその場で即日売却しますので保管の必要がありません。従前から望まれていた制度です。
但し、債務者側に引渡ができず、且つ、相当の期間内に引き渡す見込みがないときとの要件を満たす必要があります。
民事執行規則第154条の2(強制執行の目的物でない動産の売却の手続等)
3 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行を行つた日(以下この項において「断行日」という。)において、強制執行の目的物でない動産であつて法第168条第5項の規定による引渡しをすることができなかつたものが生じ、かつ、相当の期間内に当該動産を同項前段に規定する者に引き渡すことができる見込みがないときは、即日当該動産を売却(中略)ことができる。この場合において、即日当該動産を売却するときは、第115条(第120条第3項において準用する場合を含む。)各号に掲げる事項を公告することを要しない。


③動産執行申立事件の差押に基づき売却する。
これは、債権者が金銭債権債務名義も有して、明渡の申立と同時に動産執行の申立をし、その申立に基づき、催告時に目的外不動産の差押をして、断行当日に売却できます。
民事執行法第122条(動産執行の開始等)
 動産(登記することができない土地の定着物、土地から分離する前の天然果実で1月以内に収穫することが確実であるもの及び裏書の禁止されている有価証券以外の有価証券を含む。以下この節、次章及び第4章において同じ。)に対する強制執行(以下「動産執行」という。)は、執行官の目的物に対する差押えにより開始する。
2 動産執行においては、執行官は、差押債権者のためにその債権及び執行費用の弁済を受領することができる。


④民事執行規則第154条の2第2項に基づき即日売却する。
これは、催告の時に「断行日に売却する旨の決定」をしておき、断行当日に売却する方法です。
民事執行規則第154条の2(強制執行の目的物でない動産の売却の手続等)
2 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行の申立てがあつた場合において、法第168条の2第1項に規定する明渡しの催告を実施したときは、これと同時に、当該申立てに基づく強制執行の実施予定日を定めた上、当該実施予定日に強制執行の目的物でない動産であつて法第168条第5項の規定による引渡しをすることができなかつたものが生じたときは、当該実施予定日にこれを同項後段の規定により強制執行の場所において売却する旨を決定することができる。この場合において、執行官は、売却すべき動産の表示の公告に代えて、当該実施予定日において法第168条第5項の規定による引渡しをすることができなかつた動産を売却する旨を公告すれば足りる。

民事執行法第168条の2(明渡しの催告)
 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行の申立てがあつた場合において、当該強制執行を開始することができるときは、次項に規定する引渡し期限を定めて、明渡しの催告(不動産等の引渡し又は明渡しの催告をいう。以下この条において同じ。)をすることができる。ただし、債務者が当該不動産等を占有していないときは、この限りでない。
2 引渡し期限(明渡しの催告に基づき第6項の規定による強制執行をすることができる期限をいう。以下この条において同じ。)は、明渡しの催告があつた日から1月を経過する日とする。ただし、執行官は、執行裁判所の許可を得て、当該日以後の日を引渡し期限とすることができる。

民事執行法第168条(不動産の引渡し等の強制執行)
5 執行官は、第1項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる


⑤民事執行規則第154条の2第3項に基づき1週間以内に物件所在地において売却する。
これは即日売買が困難な場合に利用されます。
民事執行規則第154条の2(強制執行の目的物でない動産の売却の手続等)
3 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行を行つた日(以下この項において「断行日」という。)において、強制執行の目的物でない動産であつて法第168条第5項の規定による引渡しをすることができなかつたものが生じ、かつ、相当の期間内に当該動産を同項前段に規定する者に引き渡すことができる見込みがないときは、(中略)断行日から1週間未満の日を当該動産の売却の実施の日として指定することができる。この場合において、即日当該動産を売却するときは、第115条(第120条第3項において準用する場合を含む。)各号に掲げる事項を公告することを要しない。


これらのうち、よく利用されるのは①乃至③で、④、⑤は殆ど利用されず、その理由は、④、⑤の方法は②の即日売買で賄えるからと推測されています。

以上:2,471文字

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