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刑事裁判の基本的仕組み

平成16年 2月 1日(日):初稿
■始めに
これまで主に私の業務上の失敗談を中心に人間について考えてきました。鶴亀法律トピックコーナーと称しながら、肝心の法律そのものについては余り触れてきませんでした。法律そのものの話を余りしてこなかった理由は、ただ一つ「面白くない」からです。しかし、面白くないからと言って法律そのものの話が出ないのでは、看板に偽りありとお叱りを受けるかも知れません。そこで今回からしばらく法律そのものの話をさせて頂きます。

■刑事裁判制度の仕組み
法律というと最終的には裁判ですが、皆さんになじみやすい、刑事裁判の仕組みから考えていきます。
いきなり難しい言葉で恐縮ですが、今の刑事裁判制度の考え方は、戦前の職権(糾問)主義から当事者主義に変わったと説明されています。
糾問主義とは、裁判官が自ら捜査し、判断するもので極端に言えばTVの遠山の金さんです。金さんは自分で捜査し、犯人をお白州にしょっ引き、自分で判断し、罪を言い渡します。しかし現実には金さんのようなスーパーマンは居るはずがないと言う考えから、当事者主義に変わりました。
当事者主義とは、犯罪を捜査する機関と、犯罪事実の有無を判断する機関をハッキリ分けるものであり、捜査は警察・検察が行い、検察官が起訴した検察官の主張を、裁判官は判断するだけのいわばレフリーに徹しろと言う考えです。
この考えの根底には人間は全能ではなく過ちを犯すものであるとの前提があります。捜査する者は、必ずあいつが犯人ではないかと言う見込みから始まります。一人の人が特定の見込みを持って捜査すればどうしてもその見込みに縛られて公平な判断が出来なくなる、従って判断は見込みを持たない第三者の裁判官にさせるべきと言う考えが当事者主義の基本的考えです。

■無罪の推定など
世の中の安定を保つため犯罪を犯した人に刑罰を課して犯罪を抑止しするのが刑法の目的ですが、法律の整備されていなかった時代は、リンチと言う名の私刑でした。リンチは、どうしてもその場の雰囲気に流れ犯罪内容を良く吟味しなくなります。そのため多くの人が無実の罪をかぶってきました。そこでリンチは止めて冷静に犯罪者の言い分も聞いて刑を決める考えが出てきました。
先ず予め法律で定めていない行為には、刑を課してはならないと言う罪刑法定主義の考えが生まれ、更に被告人は有罪が確定するまで無罪を推定され、言いたくないことは言わなくても良い黙秘権が保障され、自白だけでは有罪と出来ないと言うような決まりが出来ました。日本の憲法にも規定されています。
これらの考えは、たとえ百人の犯人を逃がしても、一人の冤罪(無実の人を有罪になる)者を出すなと言う思想が横たわっています。

■刑事裁判での弁護士の役割
刑事裁判は、検察官の主張が正しいかどうか裁判官が判断するものですが、権力を持たない被告人は検察官の前では圧倒的に力が弱く、被告人の立場に立って被告人に光を当て、被告人の正統な利益を擁護するのが弁護人の役割です。
裁判官が判断するのはあくまで検察官の主張であり、実際の事実ではありません。実際の事実は、神のみぞ知るであり、裁判官は検察官の主張が、法律で定められた証拠に基づき照らし合わせると99.9%有罪であると確信出来ない限り有罪とは出来ません。
被告人が無罪を主張する場合、検察官の主張は証拠が不十分だから無罪であると被告人の立場で主張するのが弁護人の役割です。
(以下、次号に続きます)
以上:1,412文字

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