| 令和 7年10月25日(土):初稿 |
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○不動産登記法第2条(定義)の十六号に「更正の登記 登記事項に錯誤又は遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記をいう」と定義されています。教科書的には更正登記(こうせいとうき)は、不動産登記において誤りや不備があった場合に、その内容を正すために行う手続きと説明されています。 ○被相続人甲の相続開始後に相続人A・B・Cの3名でしたが、Aが単独で、遺産である乙土地について、A・B・C各持分3分の1とする法定相続分での相続登記をしていた事案で、後に遺産分割調停を経て最終的にはCが単独で取得するとの審判が出されて確定しました。この場合の登記手続ですが、登記法不勉強な私は、A・B各3分の1持分の移転登記をするとばかり思っていました。しかし登記専門家司法書士に相談するとその場合は、持分権移転登記ではなく、更正登記になると説明されました。 ○不動産登記法での更正登記の定義は、「登記事項に錯誤又は遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記」とされており、法定相続分でのA・B・C各3分の1の相続登記は、錯誤にも遺漏にも該当しません。従って更正登記の定義からすれば、法定相続分相続登記を遺産分割でCの単独取得とするのは、A・B持分の移転登記ではないかと素人的に考えてしまいました。しかし、令和5年3月28日付け法務省民二第538号通達の10頁に 第3 その他運用の見直し関係と説明されています。 ○私が取り扱っている事案は、Aからの依頼で、被相続人甲は若くして亡くなり、多数の土地を遺産として残しましたが、A・B・C間で遺産分割の話し合いがつかず、Aが単独で多数の遺産土地を全て法定相続分で登記してそのままにしていました。それが数十年経て遺産分割調停・審判となり、乙土地についてはCが取得するとの審判がでて確定しました。しかしCは乙土地でなく、丙土地取得を希望して、審判は無効だと主張して、審判で命ぜられた乙土地取得の登記をせず、登記簿上はA・B・C共有のままになっています。 ○そこでA・BがCに対し、乙土地の登記引取請求の訴えをだすことになり、当初持分権移転での請求趣旨にして訴状を司法書士に確認して貰ったところ、移転登記ではなく更正登記と指摘されました。登記訴訟は、弁護士は不動産登記の専門家ではないので、必ず専門家司法書士の確認を受ける必要があり、今回も勉強になりました(^^;)。なお、遺産分割審判書主文の記載も持分権移転登記手続をせよと記載されており、この遺産分割審判を原因証書として更正登記が可能かどうかを仙台法務局に確認することになりました。 以上:1,369文字
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