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不動産引渡(明渡)執行時における目的外動産即時売却覚書1

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平成26年 9月12日(金):初稿
○平成15年民事執行法改正後の不動産引渡(明渡)執行時における目的外動産の処理方法について、「不動産引渡(明渡)執行時における目的外動産の処理方法覚書1」、「同2」に概要を記載していましたが、目的外動産即時売却の方法について更に詳しい覚書を残します。

・即日売却の決定(断行実施日に売却する旨の決定・民事執行規則第154条の2第2項)
民事執行規則第154条の2(強制執行の目的物でない動産の売却の手続等)
2 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行の申立てがあつた場合において、法第168条の2第1項に規定する明渡しの催告を実施したときは、これと同時に、当該申立てに基づく強制執行の実施予定日を定めた上、当該実施予定日に強制執行の目的物でない動産であつて法第168条第5項の規定による引渡しをすることができなかつたものが生じたときは、当該実施予定日にこれを同項後段の規定により強制執行の場所において売却する旨を決定することができる。この場合において、執行官は、売却すべき動産の表示の公告に代えて、当該実施予定日において法第168条第5項の規定による引渡しをすることができなかつた動産を売却する旨を公告すれば足りる。

民事執行法第168条(不動産の引渡し等の強制執行)
5 執行官は、第1項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。


 明渡の催告を実施した際に、断行実施予定日に目的外不動産で、債務者等に引き渡すことができなかったものが生じたときは、断行実施予定日にこれらを断行現場で売却する旨を決定し、その日にそれらを売却する方法

この方法では、執行官が明渡の催告をする際に、当該建物内にある目的外動産の概要を把握し、断行実施予定日に売却するに適しているかどうかを判断し、売却できると判断した場合は、断行実施日に売却する旨の決定をして、その旨を公告します。この決定は調書上に記載すれば足り、公告も従前の公告と同様で足ります。

目的外不動産が断行実施日に売却されることは、明渡催告の際、債務者に対し、在宅していれば口頭で十分に説明し、在宅していない場合任意履行催告書に売却についての説明文を盛り込むなどして理解させることが必要です。

即時売却決定判断基準は、債務者の生活実態、目的外動産の質・量、債務者等による引き取りの可能性の有無、円滑な執行の確保等諸々の要素を総合的に勘案して判断することになります。

・断行実施日における即日売却(民事執行規則第154条の2第3項)
民事執行規則第154条の2(強制執行の目的物でない動産の売却の手続等)
3 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行を行つた日(以下この項において「断行日」という。)において、強制執行の目的物でない動産であつて法第168条第5項の規定による引渡しをすることができなかつたものが生じ、かつ、相当の期間内に当該動産を同項前段に規定する者に引き渡すことができる見込みがないときは、即日当該動産を売却(中略)ことができる。この場合において、即日当該動産を売却するときは、第115条(第120条第3項において準用する場合を含む。)各号に掲げる事項を公告することを要しない。


このケースとして想定できるのは、明渡催告の段階では、断行実施予定日における売却決定をしなかったところ、断行実施日には大半の目的外不動産が搬出され、残余の目的外不動産については、その種類、内容から債務者等が改めて引き取りに来る可能性もほとんど期待できず、また、引渡のための通知をするにも債務者の所在が不明である等引渡の見込みがない蓋然性が相当高い場合で、残存する物の質・量からも即日売買実施には馴染むと判断され、かつ、買い受け希望者が現場に存在する(通常は債権者だけ)場合があります。



・断行実施日から1週間未満の日を売却期日とする売却(民事執行規則第154条の2第3項)
民事執行規則第154条の2(強制執行の目的物でない動産の売却の手続等)
3 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行を行つた日(以下この項において「断行日」という。)において、強制執行の目的物でない動産であつて法第168条第5項の規定による引渡しをすることができなかつたものが生じ、かつ、相当の期間内に当該動産を同項前段に規定する者に引き渡すことができる見込みがないときは、(中略)断行日から1週間未満の日を当該動産の売却の実施の日として指定することができる。この場合において、即日当該動産を売却するときは、第115条(第120条第3項において準用する場合を含む。)各号に掲げる事項を公告することを要しない。


明渡催告の際には、断行実施予定日における目的外動産の売却は決定しなかったが、断行実施日における目的外動産の残置状態等から、債務者等による引き取りも見込まれず、しかし、買受申出人が不在等で即日売買の条件が整っておらず、かといって他所に一定期間保管の上、売却する程のものでもないと認められる場合には、1週間未満の日を売却実施日として定めることができます。

明渡催告の際、即日売却の決定をしていても、買受人不在等で売却ができない場合もこの方法によることができます。この場合、事務処理上は、先に定めた売却期日の売却は中止し、新たな売却期日を指定することになります。この方法による場合、目的外不動産は、執行場所に保管(現場保管)が原則になり、他の場所に移して保管することは不要です。

・高価な動産について
第154条の2(強制執行の目的物でない動産の売却の手続等)
4 前項の規定は、高価な動産については、適用しない。
 

断行実施日における即日売却は、目的外動産が高価な場合は実施できません。以下の規定との整合性を取るためです。
民事執行規則第111条(差押物の評価)
 執行官は、高価な動産を差し押さえたときは、評価人を選任し、その動産の評価をさせなければならない。
2 執行官は、必要があると認めるときは、評価人を選任し、差押物の評価をさせることができる。
3 評価人は、差押物の評価をしたときは、評価書を所定の日までに執行官に提出しなければならない。

遺留品といえども高価な動産については、適正な価格による売却を実現する手続が保障されるべきであり、債務者の利益にも配慮する必要があるからです。ですから目的外不動産の中に一部高価な財産が存在した場合は、これを除いて即日売却し、高価な動産については執行官保管として、原則1週間以上1ヶ月以内の日を売却期日と指定し、売却公告をして、その間に評価人を選任し、その動産の評価をさせなければなりません。

以上:2,848文字

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