| 令和 8年 1月27日(火):初稿 |
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○古い判例ですが、賃借人の賃借物件以外の賃貸人所有物件不法占拠を理由に信頼関係破壊による解除を認めた昭和40年8月2日最高裁判決(判時424号34頁、判タ181号114頁)全文を紹介します。 ○本件家屋賃貸借は、約定期限の経過とともに借家法による法定更新により期間の定めのない賃貸借となてしましたが、賃借人の上告人が賃借した部分は本件建物中A、B、C、Dの範囲のみであり、E、F、Gの部分については占有権原がなく、不法占有でした。 ○賃貸人の被上告人は被告の不信行為(E、F、G部分の不法占拠)を原因として解約の申し入れをしており、この不信行為は信頼関係を著しく阻害するもので、無断転貸等に準ずるものであるから、直ちに、又は解約告知の方法により、賃貸借関係を終了させることができ、本件家屋中上告人が賃借していた部分については解約告知から6か月の経過または解除により賃貸借が終了していると認定して請求を全部認容した原判決を支持し、上告を棄却しました。 ******************************************** 主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人○○○○、同○○○○の上告理由第一点について。 記録によれば、 (い)被上告人が本件訴状において、上告人が本件建物中のEFG部分を不法に占拠したことを責めており、その後の口頭弁論においても、常に不信行為の責任を追求している旨および (ろ)被上告人が判示解約の申入をした真意は、上告人の不信行為を重要な原因としたものである旨の原審の認定は、いずれも是認でき、右認定の経路に審理不尽、理由不備の違法はない。 所論は、ひつきよう、原審が適法にした事実の認定ならびにこれに基づく当事者の主張の解釈を非難するものであつて、採用できない。 同第二点について。 一 原審の証拠関係に徴すれば、 (い)上告人において本件建物中のG部分を不法占拠した時期は訴外甲のEF部分退去後である旨の認定、 (ろ)本件建物は上告人がその全部を被上告人から賃借し、訴外甲に対しては、上告人が右建物の一部を転貸したものであるとの上告人の主張に添う証人らの供述は措信し難く、他に右主張を肯認するに足る証拠はない旨の事実上の判断、 (は)上告人が本件建物中のE部分を被上告人に無断で使用した旨の認定、 (に)上告人が甲から被上告人に支払うべく託された賃料の一部を自ら領得した旨の原審の認定は、いずれも首肯できないものではなく、右認定判断の経路に採証法則違背、審理不尽の違法はない。 原審の事実認定に関し論旨の主張するところは、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断および事実の認定を非難するにすぎないものである。 二 しかして、原審が適法に認定したところによれば、上告人は、被上告人からその所有の本件建物の一部であるACE部分を賃貸し、また、D部分の使用をも黙認され、これらを店舗兼居宅として使用してきたが、昭和28年10月頃本件建物中のEF部分の賃借人である訴外甲が該部分から立ち退くや、被上告人に無断で該部分を占拠するの挙に出、あまつさえ、階上のG部分も同様に不法に占拠し、右EFG部分を前記賃借物件使用の便宜に宛てているというのであり、その他原審が確定した一切の事実関係を斟酌すれば、上告人の右行為は、本件建物の賃貸借契約の基礎にある当事者相互の信頼関係を裏切つて、賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめる不信行為であるといわざるをえない。 かかる場合に、被上告人が右不信行為を理由に、賃貸借を解除できるとした原審の判断は正当である。右判断を云為する論旨は、原審の認定と相容れない事実を前提とし、独自の見地に立つて原判決を攻撃するものでしかない。 論旨はすべて採用できない。 よつて、民訴法401条、95条、89条に従い裁判官の全員の一致で、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外) 以上:1,654文字
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