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ローン付不動産財産分与申立に相当額金員支払を命じた家裁審判紹介

○離婚した元夫婦間において、元夫である申立人が、元妻である相手方に対し、不動産の財産分与を請求した事案で、分与割合は、申立人と相手方につき、それぞれ2分の1とするのが相当として財産分与額2769万円を認定し、その金員の支払を相手方に支払を命じた平成28年3月30日東京家裁審判(判時2372号21頁、判タ1451号142頁)を紹介します。

○申立人は、本件不動産の相手方持分2分の1の取得を希望していましたが、東京家裁審判相手方を主債務者とする負債があり、これを被担保債権として、本件不動産に抵当権が設定されていることが認められるから、その負債について、相手方がその返済を怠った場合、抵当権が実行される可能性があり、また、その場合に申立人が同債務を返済した場合には、その求償関係を巡り問題が生じるとして金員の支払を命じ、双方が抗告して、抗告審平成29年6月30日東京高裁決定では結論が変わりました。別コンテンツで紹介します。

**********************************************

主   文
相手方は、申立人に対し、金2769万円を支払え。

理   由
第一 申立ての趣旨及び実情等
一 申立ての趣旨

 相手方は、申立人に対し、夫婦が共同で得た財産の2分の1相当を分与せよ。

二 事案の概要等
(1)本件は、離婚した元夫婦間において、元夫である申立人が、元妻である相手方に対し、財産分与を請求している事案である。

(2)前提事実
 本件記録によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人と相手方は、平成7年××月××日に婚姻の届出をし、平成16年××月××日に長女Cをもうけたが、平成20年××月××日、長女の親権者を母である相手方と定めて協議離婚した。
イ 相手方は、平成20年××月、離婚に伴う財産分与の合意があるとして、これに基づき、不動産の共有持分の移転等を求める訴訟を東京地方裁判所に提起したが(同庁平成20年(ワ)第××××号慰謝料等請求事件)、同訴訟は平成23年××月××日、離婚に伴う財産分与の合意はないとして相手方の請求を棄却する判決がされている。
ウ 申立人は、平成22年××月××日、当庁に、相手方に財産分与を求める本件審判事件を申し立てた。

         (中略)

第二 当裁判所の判断
一 財産分与における対象財産確定の基準時については、離婚時である平成20年××月××日とすることにつき当事者間に争いがなく、本件記録によっても、同日頃に夫婦の経済的協力関係が終了していると認められるから、同日を基準時(以下「本件基準時」という。)とする。

二 分与対象財産及び評価について
(1)本件不動産について

ア 本件不動産については、婚姻中である平成19年××月××日に、申立人及び相手方が各二分の一の共有持分で買受けており、財産分与の対象になると認められる。

イ その評価については、申立人及び相手方からそれぞれ不動産会社からの査定書が提出されている。その内容をみると、申立人提出の査定書(以下「申立人査定書」という。)においては、セットバックによる面積減少の点を考慮しているほか、取引事例比較法における取引事例についても複数物件を対象として取り上げていること等その評価基準についても特段不合理な点は認められないのに対し、相手方提出の査定書(以下「相手方査定書」という。)においては、取引事例比較法において事例が一例のみであり、かつ、セットバックの減価も適切に行われていないことが認められる。これによれば、その評価額の根拠となる資料としては申立人査定書によるべきであり、その金額は本件不動産自体の価額としては4073万円となり、申立人及び相手方の共有持分に応じた評価額は、その半額である2036万5000円とするのが相当である。

(2)申立人名義の資産・負債に係る財産分与対象財産の有無及び評価額
ア 別紙《略》申立人名義の資産・負債表番号2-1(●●《省略》●●)について
 本件記録によれば、申立人は、本件基準時の2日前である平成20年××月××日に、同時点での預金全額である117万2827円の支払を受けていることが認められるところ、その使途につき、具体的な説明はなく、これを裏付ける資料もない。そうすると、その支払時期や金額に照らし、上記申立人払戻しに係る金員は、現金として本件基準時に存在したと推測されるから、同金額については、財産分与の対象とすべきである。

イ 別紙《略》申立人名義の資産・負債表番号2-2から2-5の各預金について
 別紙《略》の当裁判所の判断欄記載の各証拠によれば、上記番号の各預金は財産分与対象財産と認められ、その評価額は、別紙《略》の当裁判所の判断欄の評価額欄記載のとおりと認められる。

ウ 別紙《略》申立人名義の資産・負債表番号3-1(D社株式)について
 本件記録によれば、D社の定款において、申立人及び相手方の出資口数はそれぞれ30口であると記載されていることが認められるところ、D社の設立は当事者が婚姻中の平成10年××月××日であり、同株式については、夫婦共有財産として、財産分与の対象になると解される。相手方は、この点につき、同出資金は全て相手方が支出したものであると主張するが、これを裏付ける的確な資料はない。

 また、その評価額については、特有財産であるとする相手方が、本件手続を通じてその評価に必要な決算書等の資料を出していないため、具体的な評価額を求めることは困難であるが、他方で、D社は、本件マンションを所有していることに照らすと、その株式に資産価値がないとまでもいえず、価値がないとして分与対象財産から除外することは相当でないというべきである。なお、申立人は、離婚前に確定申告に利用したデータに基づきその評価額を30株当たり1674万0857円と主張しているが、同データの正確性を裏付ける資料はなく、直ちに採用できない。他方、相手方も、その評価額の資料として、会計鑑定事務所が作成した評価明細書を提出するが、これについても、同評価書の前提となった会計資料を検証することができず、直ちに採用できないものである。

 また、相手方は、D社の設立や維持等について申立人の寄与はなく、相手方の個人的な資格等によるものであるから、財産分与の対象とすべきでない旨主張する。しかし、D社の成立や維持等につき、相手方が特段の寄与をしたことを認めるに足りる的確な資料はなく、また、申立人が何ら寄与していないと認めるべき資料もない。なお、相手方主張によれば、他方において、D社の株式の資産価値は0円であると主張しているのであるから、そのような主張を前提にすれば、そもそも、D社の積極的な資産形成は結果として相手方によって何もされておらず、仮に相手方の個人的な資格等によってD社が維持されていたとしても、その寄与を考慮する必要はないことになる。

エ 別紙《略》申立人名義の資産・負債表番号3-2から3-4の各資産について
 別紙《略》の当裁判所の判断欄記載の各証拠によれば、上記番号の各資産は財産分与対象財産と認められ、その評価額は、別紙《略》の当裁判所の判断欄の評価額欄記載のとおりと認められる。

オ 別紙《略》申立人名義の資産・負債表番号4-1(退職金)について
 本件記録によれば、申立人が勤務している●●《省略》●●を本件基準時において自己都合退職した場合の退職金の金額は818万0400円であるところ、申立人は、平成4年××月××日から同会社に勤務しており、本件基準時までの在籍日数は、5950日となる。
 他方、申立人及び相手方の婚姻期間は平成7年××月××日から平成20年××月××日までの4782日であるから、上記退職金のうち、分与対象財産となるのは、以下のとおり、657万4567円(一円未満四捨五入)とするのが相当である。
818万0400円×(4782日/5950日)=657万4567円

カ 別紙《略》申立人名義の資産・負債表番号4-2(不動産収入)について
 本件記録によれば、主張されている本件不動産の賃料収入は、離婚後のものであるところ、財産分与は、離婚までに夫婦がその経済協力関係に基づき築き上げた共有財産の清算であって、離婚後の財産について清算するものではないから、同収入については財産分与対象財産となるものではない。この点に関する相手方の主張は採用できない。

キ 申立人名義の共有財産額のまとめ
 上記の金額を合計すると、申立人名義の対象財産の総額は3870万6205円となる。

(3)相手方名義の資産・負債に係る財産分与対象財産の有無及び評価額
ア 別紙《略》相手方名義の資産・負債表番号1-1(本件不動産)について
 前記のとおり、同物件は財産分与対象財産であり、その評価額は2036万5000円となる。

イ 別紙《略》相手方名義の資産・負債表番号2-1ないし2-11について
 別紙《略》の当裁判所の判断欄記載の各証拠によれば、上記番号の各資産は財産分与対象財産と認められ、その評価額は、別紙《略》の当裁判所の判断欄の評価額欄記載のとおりと認められる。

ウ 別紙《略》相手方名義の資産・負債表番号3-1(D社株式)について
 前記のとおり、同資産の評価額は算定不能ではあるが、無価値とは認められず、分与対象財産である。

エ 別紙《略》相手方名義の資産・負債表番号4-1(D社への相手方貸付金)について
 本件記録によれば、相手方は、平成19年××月××日に5500万円を、同月××日に150万円をD社の口座に入金しており、D社が同資金を元に本件マンションを購入したことが認められる。もっとも、同入金額について、その原資は不明であり、相手方の特有財産であると認めるに足りる的確な資料はないことからすると、夫婦の共有に属するものと推定されるから、同貸付金については財産分与対象財産というべきである。

オ 別紙《略》相手方名義の資産・負債表番号4-2(債務)について
 本件記録によれば、本件基準時における相手方の債務は5630万8895円であると認められる。申立人が主張する金額は、同資料から平成24年××月××日時点の債務であると認められ、その主張は採用できない。
 なお、同債務は、本件記録によれば、本件不動産を購入するために借り入れたものと認められるが、同債務は相手方が主債務者、申立人が保証人となっているものであることは当事者間に争いがない。

カ 相手方名義の共有財産額のまとめ
 上記の金額を合計すると、相手方名義の対象財産の総額は9407万9419円となる。

三 分与割合及び分与方法について
(1)本件記録に現れた一切の事情を総合考慮すると、分与割合は、申立人と相手方につき、それぞれ2分の1とするのが相当である。
 なお、相手方は、申立人とは共働きであったにもかかわらず、家事育児も全て相手方に押し付け、なおかつ、申立人が気に入らないことがあると相手方に激しい暴力を振るっていたことや、本件分与対象財産が高額であるのは、相手方が●●《省略》●●資格を利用してD社を開業し、申立人の暴力に苦しみながらも家事育児をこなしてきたからであり、相手方の分与割合を7割とすべきである旨主張する。

 しかし、夫婦の寄与については、特段の事情がない限りは、平等であると解すべきであるところ、本件記録によれば、申立人においても婚姻期間中、●●《省略》●●に勤務して一定の収入を得ていたことが認められ、また、相手方が共有財産の形成に当たり、特段の寄与をしたことを示す的確な資料もないこと、相手方が主張する申立人の暴力についても、具体的にこれを認めるに足りる資料はなく,また、その暴力が、財産分与に当たっての夫婦の寄与として考慮すべき事情であるとも認められないから、その主張は採用できない。

(2)そうすると、下記の計算式に基づき、その他一切の事情を考慮して、相手方から申立人への分与額は、2769万円とするのが相当である。
ア 相手方名義の共有財産額 9407万9419円
イ 申立人名義の共有財産額 3870万6205円
ウ 相手方から申立人への分与額 2768万6607円
(9407万9419円+3870万6205円)÷2-3870万6205円=2768万6607円

(3)財産分与の方法について
ア 本件不動産について
 本件記録によれば、申立人は、本件不動産の相手方共有持分の取得を希望している。しかし、前記のとおり、相手方を主債務者とする負債があり、これを被担保債権として、本件不動産に抵当権が設定されていることが認められるから、その負債について、相手方がその返済を怠った場合、抵当権が実行される可能性があり、また、その場合に申立人が同債務を返済した場合には、その求償関係を巡り問題が生じることになる。
 したがって、当事者間における債務の返済や抵当権の処理等につき処分ができない審判手続において、本件不動産を申立人に分与することは相当でない
と解される。

 なお、本件資料からは、相手方の負債について連帯債務である可能性も否定できないが、そうであっても、財産分与の審判においては、当事者の一方に免責的に債務の負担を命じることはできないから、どちらが同債務を返済するか確定できず、前記同様、その後の法律関係が複雑化することになる。したがって、この場合でも、本件不動産を申立人に分与することは相当でない。
 したがって、申立人に、本件不動産の相手方共有持分を取得させることはできない。

イ D社の株式については、当事者双方が同数の株式を保有しているところ、相手方は申立人名義の株式の取得を希望している。
 前記のとおり、同株式については相手方からの資料の提出がなく、適正な評価額を定めることが困難である。相手方の行為により、適正な代償金を算定できないにもかかわらず、相手方に同株式を取得させることは、公正の観点から相当ではない上、そもそも適正な代償金額も算定できないことや、当事者の同株式の名義数の割合が、分与割合と同じであることから、同株式については、それぞれの名義のままとするのが相当である。

四 結論
 以上によれば、財産分与として、相手方から申立人に対し、2769万円を支払うのが相当である。
 よって、主文のとおり審判する。

別紙 物件目録《略》
別紙 婚姻関係財産一覧表《略》


以上:5,887文字

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