サイト内全検索
 

ご訪問有り難うございます。当HPは、私の備忘録を兼ねたブログ形式で「桐と自己満足」をキーワードに各種データを上記14の大分類>中分類>テーマ>の三層構造に分類整理して私の人生データベースを構築していくものです。
なお、出典を明示頂ければ、全データの転載もご自由で、転載の連絡も無用です。しかし、データ内容は独断と偏見に満ちており、正確性は担保致しません。データは、決して鵜呑みにすることなく、あくまで参考として利用されるよう、予め、お断り申し上げます。
また、恐縮ですが、データに関するご照会は、全て投稿フォームでお願い致します。電話・FAXによるご照会には、原則として、ご回答致しかねますのでご了承お願い申し上げます。
         
ホームページ更新情報          【最新記事
R 8- 2-12(木)法律その他 > 交際禁止条項違反のアイドルに対する損害賠償を棄却した地裁判決紹介 
R 8- 2-11(水)法律その他 > 交際禁止条項違反のアイドルに対し損害賠償を認めた地裁判決紹介 
R 8- 2-10(火)趣味 > 映画”恋愛裁判”を観て-アイドルになるのも大変と実感
R 8- 2- 9(月)弁護士等 > 2026年衆議院選挙結果に驚愕-謙虚な政権運営を望みます
R 8- 2- 8(日)趣味 > 令和8年2月第1回ツルカメフラメンコアンサンブル練習日 
R 8- 2- 7(土)弁護士等 > 2026衆議院ホリエモンAI選挙予測サイト等紹介3
R 8- 2- 6(金)弁護士等 > 2026衆議院ホリエモンAI選挙予測サイト等紹介2 
R 8- 2- 5(木)男女問題 > 半年程度の不貞期間で慰謝料250万円を認めた地裁判決紹介 
R 8- 2- 4(水)弁護士等 > 2026衆議院ホリエモンAI選挙予測サイト等紹介
R 8- 2- 3(火)趣味 > 映画”ランニング・マン”を観て-”バトルランナー”より見応えあり
R 8- 2- 2(月)事務所 > 2026年02月01日発行第406号”弁護士の「嘘つき!」”
R 8- 2- 1(日)趣味 > 映画”ギャラクシー・クエスト”を観て-シガニー・ウィーバー氏若い!
R 8- 1-31(土)貸借売買等 > 賃料支払滞納後に滞納を解消しても解除は有効とした地裁判決紹介 
R 8- 1-30(金)法律その他 > 名の変更許可申立を認容した家裁審判紹介1 
R 8- 1-29(木)弁護士等 > 高市首相突然解散の令和8年1月29日時点結果予想記事紹介
R 8- 1-28(水)法律その他 > 名の変更申立を却下した家裁審判紹介-名の変更許可要件は厳しい 
R 8- 1-27(火)貸借売買等 > 賃貸物件以外の物件不法占拠理由に解除を認めた最高裁判決紹介 


この改行は必要→
【最新更新記事】 R 8- 2-12(木):法律その他 > なんでも参考判例

交際禁止条項違反のアイドルに対する損害賠償を棄却した地裁判決紹介

○「交際禁止条項違反のアイドルに対し損害賠償を認めた地裁判決紹介」の続きで、芸能プロダクションである原告が、原告との間で専属マネージメント契約を締結した上で原告に所属する女性アイドルであった被告q2、被告q2と交際していたファンである被告q5に対しては、同契約の債務不履行又は不法行為に基づき、逸失利益等の損害賠償を、被告甲の父母である被告q3夫妻に対しては、信義則上の管理監督義務違反の不法行為に基づき、損害賠償を請求した事案で、原告の請求をいずれも棄却した平成28年1月18日東京地裁判決(判時2316号63頁、判タ1438号231頁)概要を紹介します。

○論点が多岐に渡る長文判決であり、概要は以下の通りです。
1.異性との交際,当該異性と性的な関係を持つことは,自分の人生を自分らしくより豊かに生きるために大切な自己決定権そのものであるといえ,異性との合意に基づく交際(性的な関係を持つことも含む。)を妨げられることのない自由は,幸福を追求する自由の一内容をなすもので,損害賠償という制裁をもってこれを禁ずるというのは,いかにアイドルという職業上の特性を考慮したとしても,行き過ぎな感は否めず,所属アイドルが異性と性的な関係を持ったことを理由に,所属アイドルに対して損害賠償を請求することは上記自由を著しく制約するものといえ,q2が異性と性的な関係を持ったことを理由に損害賠償を請求できるのは,q2が会社に積極的に損害を生じさせようとの意図を持って殊更これを公にしたなど害意が認められる場合等に限定して解釈すべき
2.q2が本件ライブに出演せず連絡にも応じなかったことにより,関係者に迷惑がかかったことくらいはうかがえるが,金銭的な賠償が必要な程度の信用毀損が生じたとまでは認められない
3.会社は,q2に支払った交通費の全額を,q2の報酬から差し引いたと認めるほかなく,会社の損害は填補された
として、原告の請求を全て棄却しました。

○さらに
芸能プロダクションと女性アイドルとのマネージメント契約は、本件の実情に照らせば、芸能プロダクションの具体的な指揮命令の下に芸能プロダクションの決めた業務に女性アイドルを従事させることを内容とする雇用類似の契約であるといえるところ、その内実は女性アイドルに一方的に不利なものであり女性アイドルに本件契約による拘束を受忍することを強いるべきものではないことを考慮するならば、女性アイドルが本件契約を直ちに解除したことにはやむを得ない事由があった
としました。

○「映画”恋愛裁判”を観て-アイドルになるのも大変と実感」で紹介した映画「恋愛裁判」は、この判決をモデルにしたと思われ、主人公は、最後は晴れやかな表情で終わりました。

************************************************

主   文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

1 被告q2(以下「被告q2」という。)及び被告q5(以下「被告q5」という。)は,原告に対し,連帯して,883万7290円及びこれに対する被告q2については平成27年3月15日から,被告q5については同月14日から,支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告q3(以下「被告q3」という。)及び被告q4(以下「被告q4」といい,被告q3と被告q4を併せて「被告q3夫妻」という。)は,原告に対し,連帯して,110万円及びこれに対する平成27年3月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要等
1 事案の概要

 本件は,芸能プロダクションである原告が,原告との間で専属マネージメント契約(以下「本件契約」という。)を締結した上で原告に所属する女性アイドルであった被告q2,被告q2と交際していたファンである被告q5,及び被告q2の父母である被告q3夫妻に対し,以下の(1),(2)の各請求をした事案である。

2 前提事実
 以下の事実は,当事者間に争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実である。
(1)当事者
 原告は,芸能タレントの育成及びマネージメント等を目的とする株式会社である(甲1)。
 被告q2は,平成4年○月○日生まれの女性であり(甲3),「q6」という芸名でアイドルグループ「q7」(略称は「q8」。以下「本件グループ」という。)に所属して活動を行っていた者である。
 被告q5は,平成3年○月○○日生まれの男性であり(甲10),本件グループに所属する被告q2のファンとして,本件グループのコンサート,撮影会等各種イベントに参加していた者である。
 被告q3夫妻は,被告q2の父母である。

(2)本件契約の締結(甲4)
 原告は,平成24年4月1日,当時未成年(19歳9か月)であった被告q2との間で,親権者である被告q3の同意の下,別紙「専属マネージメント契約書」記載のとおり(ただし,契約書中の「甲」を原告,「乙」を被告q2,「本契約」を本件契約と置き換えた。)の本件契約を締結した。
 被告q3は,同日,本件契約の契約書の親権者欄に署名押印した。

(3)被告q2と被告q5との交際
 被告q2は,遅くとも平成25年12月頃から,被告q5と交際を開始し,男女関係を持った。

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 被告q2に対する逸失利益等の損害賠償請求について

(1)争点〔1〕(被告q2に本件契約の債務不履行があるか,不法行為が認められるか)について
 被告q2が本件契約3条2項ただし書に基づき原告に対して負う出演業務(一切のアーティスト活動のこと。本件契約1条2号)の遂行義務には,本件ライブに出演し,その後の活動に従事する義務が含まれるところ(前提事実(2)),被告q2は本件ライブに出演しなかった(前提事実(5))。

     (中略)

(2)争点〔2〕(本件契約は解除されたか,及びその効力はいつ生じたか)について
ア 本件契約は解除されたか
(ア)本件契約の性質について

     (中略)

 そうすると,本件契約は,「アーティスト」の「マネージメント」という体裁をとりながら,その内実は被告q2に一方的に不利なものであり,被告q2は,生活するのに十分な報酬も得られないまま,原告の指示に従ってアイドル(芸能タレント)活動を続けることを強いられ,従わなければ損害賠償の制裁を受けるものとなっているといえる。ゆえに,本人がそれでもアイドル(芸能タレント)という他では得難い特殊な地位に魅力を感じて続けるというのであればともかくとして,それを望まない者にとっては,本件契約による拘束を受忍することを強いるべきものではないと評価される。このような本件契約の性質を考慮すれば,被告q2には,本件契約を直ちに解除すべき「やむを得ない事由」があったと評価することができる。

イ 解除の効力はいつ生じたかについて

     (中略)

ウ 債務不履行,不法行為についてのあてはめ
 したがって,被告q2が平成26年7月20日の本件ライブに出演しなかった行為及び解除の効力発生前の同月26日までの7日間に本件グループの活動に従事しなかった行為は,原告に対する債務不履行に該当するが,解除の効力発生後の同月27日以降の活動停止については,債務不履行に該当しない。

 なお,原告は,被告q2の行為が原告に対する業務妨害ないし債権侵害の不法行為に該当するとも主張するが,上記アのとおり本件契約は被告q2にとって一方的に不利な面が強く,やむを得ない事由があるとしてこれを解除することは被告q2の正当な権利行使と認められるから,そのような不法行為に該当するとは認められない。

 また,前提事実(3)のとおり,被告q2は,上記解除の効力発生までの間に,ファンである被告q5と性的な関係を持っている。確かに,タレントと呼ばれる職業は,同人に対するイメージがそのまま同人の(タレントとしての)価値に結びつく面があるといえる。その中でも殊にアイドルと呼ばれるタレントにおいては,それを支えるファンの側に当該アイドルに対する清廉さを求める傾向が強く,アイドルが異性と性的な関係を持ったことが発覚した場合に,アイドルには異性と性的な関係を持ってほしくないと考えるファンが離れ得ることは,世上知られていることである。それゆえ,アイドルをマネージメントする側が,その価値を維持するために,当該アイドルと異性との性的な関係ないしその事実の発覚を避けたいと考えるのは当然といえる。そのため,マネージメント契約等において異性との性的な関係を持つことを制限する規定を設けることも,マネージメントする側の立場に立てば,一定の合理性があるものと理解できないわけではない。

 しかしながら,他人に対する感情は人としての本質の一つであり,恋愛感情もその重要な一つであるから,かかる感情の具体的現れとしての異性との交際,さらには当該異性と性的な関係を持つことは,自分の人生を自分らしくより豊かに生きるために大切な自己決定権そのものであるといえ,異性との合意に基づく交際(性的な関係を持つことも含む。)を妨げられることのない自由は,幸福を追求する自由の一内容をなすものと解される。

とすると,少なくとも,損害賠償という制裁をもってこれを禁ずるというのは,いかにアイドルという職業上の特性を考慮したとしても,いささか行き過ぎな感は否めず,芸能プロダクションが,契約に基づき,所属アイドルが異性と性的な関係を持ったことを理由に,所属アイドルに対して損害賠償を請求することは,上記自由を著しく制約するものといえる。また,異性と性的な関係を持ったか否かは,通常他人に知られることを欲しない私生活上の秘密にあたる。そのため,原告が,被告q2に対し,被告q2が異性と性的な関係を持ったことを理由に損害賠償を請求できるのは,被告q2が原告に積極的に損害を生じさせようとの意図を持って殊更これを公にしたなど,原告に対する害意が認められる場合等に限定して解釈すべきものと考える。

 そして,前提事実(8)のとおり,平成26年8月17日のライブ会場において,被告q2がファンと交際していたことを公にしたのは原告のプロデューサーであり,被告q2ではない。本件において,被告q2が原告に積極的に損害を生じさせようとの意図を持って殊更これを公にしたと認めるに足りる証拠はない。

 したがって,被告q2と被告q5との交際が結果的に外部に知れたことが(性的な関係を持ったことまでが外部に知れたか否かはともかくとして)アイドルとしての被告q2の商品価値を低下させ得るとしても,被告q2が被告q5と性的な関係を持ったことを理由に,原告が,債務不履行又は不法行為に基づき,被告q2に対して損害賠償を請求することは認められないといわざるを得ない。

     (中略)

3 被告q5に対する請求について
 争点〔7〕(被告q5は,被告q2の債務不履行又は不法行為について共謀したか)について
 上記1及び2のとおり,被告q2には原告に対する損害賠償義務がないから,その余の点を検討するまでもなく,被告q5も原告に対する損害賠償義務を負わない。

 なお,上記1(2)ウのとおり,異性に恋愛感情を抱くことは人としての本質の一つであり,その具体的現れとして当該異性と交際すること,さらに当該異性と合意の上で性的な関係を持つことは,人の幸福追求権の一場面といえる。まして,被告q5は,一ファンに過ぎず,被告q2と異なり,アイドルではなく,原告との関係で何らかの契約関係の拘束を負うものでもない。それゆえ,被告q5においては,原告との関係で,契約上はもちろん一般的にも,被告q2と交際し,さらに被告q2と合意の上で性的な関係を持つことを禁じられるような義務を負うものではないから,被告q2と交際し,性的な関係を持った事実をもって,原告に対する違法な権利侵害と評価することはできないというほかない。

 また,上記1(2)ウのとおり,被告q2の原告に対する業務妨害ないし債権侵害の不法行為も認められないから,被告q5においてこれと共同不法行為が成立する余地もない。


     (中略)

4 被告q3夫妻に対する請求について
 争点〔8〕(被告q3夫妻は,被告q2の生活及び活動状況についての管理監督義務を原告に対して負うか,及びその義務違反による固有の損害が原告に生じたか)について
 そもそも一般的に成年に達した者が,マネージメント契約に基づきアイドル(芸能タレント)活動を行うのに際して,その者の父母が契約の相手方に対して何らかの責任を負う根拠はないと考えられる。それのみならず,本件契約締結時に被告q2が未成年であった点を捉えても,被告q2は既にその時点で19歳9か月であり,アイドル(芸能タレント)としての活動拠点も被告q3夫妻が暮らす岐阜市から遠く離れた東京都内であった上,被告q2が被告q5と交際を開始したと認められる平成25年12月には既に成年に達していた。

 これらのことに照らせば,被告q3夫妻は,被告q2の生活及び活動状況について,原告の主張するような管理監督義務を原告に対して負うとは認められない。したがって,被告q3夫妻に対する原告の請求は認められない。

第4 結論
 よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第33部
裁判長裁判官 原克也 裁判官 中野達也 裁判官 藤田直規

(別紙)専属マネージメント契約書
第1条(定義)
 本件契約中で使用される下記用語は,それらの語の通常の意味・用法にかかわらず,下記の意味を有するものとする。
〔1〕マネージメント
 アーティストの出演業務に係わる企画・立案業務,制作業務,制作進行業務,予算管理業務,スタッフの選任及び管理に係わる業務,マーケティング業務,その他それらに付随する業務

     (中略)

第12条(損害賠償)
1 被告q2が本件契約に違反し原告が損害を負った場合は,原告は直ちに損害賠償を請求できるものとする。この場合,原告の管理する金銭と対当額で相殺することができるものとする。
2 被告q2の以下の具体的な行為についてもまた前項と同様とする。

     (中略)

〔8〕ファンと性的な関係をもった場合 またそれにより原告が損害を受けた場合
〔9〕同じ事務所に所属するタレントもしくはアーティスト,クリエイターやスタッフと性的な関係を持った場合。
〔10〕故意,事故に関わらず機材もしくは施設を破損した場合。
〔11〕あらゆる状況下においても原告の指示に従わず進行上影響を出した場合


     (中略)

第19条(特記事項)
1 本件活動に際して水着を着用する場合があり,その場合は速やかに原告の指示に従うこと。いかなる場合でも指示に従わない場合は第12条の〔11〕として処理するものとする。
2 ブログやツイッターなどあらゆるWEBメディア等のID,パスワードは常に原告,被告q2で共有するものとし,勝手に変更または,原告の許可無く新規設立することは禁止事項とする。これに違反した場合は第12条の〔11〕として処理されるものとする。
3 ブログやツイッターなどあらゆるWEBメディア等の内容は原則的に被告q2が被告q2の判断によって構成していくが,いかなる場合でも原告から指示があった場合はそれに従い新規作成,修正,加筆,削除等しなくてはならない。
以上:6,344文字

Page Top