○マンション販売会社Aからマンション施工工事を請け負い施工した業者Bから、そのマンション建物一部について瑕疵(契約不適合)部分が発見されたとして、マンション管理組合Cからその瑕疵の修補を要求されており修補責任の有無について相談を受けています。マンション管理組合は、販売会社Aに瑕疵修補を請求したところ、マンション販売会社Aは施工業者Bに瑕疵修補を請求してきました。施工業者Bは管理組合Cと直接の契約関係はないのでCに対する直接の修補義務はありません。
○但し、「
建物建築設計者・施工者・工事監理者に不法行為責任を認めた判例紹介」で紹介した平成19年7月6日最高裁判決(判タ1252号120頁、判時1984号34頁)によれば、「設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり,それにより居住者等の生命,身体又は財産が侵害された場合には,設計・施工者等は,不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り,これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負うというべきである」とされています。
○マンション施工業者の責任は、民法の外に以下の住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に規定されています。
第94条(住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任)
住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から10年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法(明治29年法律第89号)第415条、第541条及び第542条並びに同法第559条において準用する同法第562条及び第563条に規定する担保の責任を負う。
2 前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは、無効とする。
3 第1項の場合における民法第637条の規定の適用については、同条第1項中「前条本文に規定する」とあるのは「請負人が住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号)第94条第1項に規定する瑕疵がある目的物を注文者に引き渡した」と、同項及び同条第2項中「不適合」とあるのは「瑕疵」とする。
○売主の責任は以下の通りです。
第95条(新築住宅の売主の瑕疵担保責任)
新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、民法第415条、第541条、第542条、第562条及び第563条に規定する担保の責任を負う。
2 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。
3 第1項の場合における民法第566条の規定の適用については、同条中「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号)第95条第1項に規定する瑕疵がある」と、「不適合」とあるのは「瑕疵」とする。
○品確法の概要は以下の通りです。
・新築住宅の10年間の瑕疵担保責任義務化
柱、梁、床、屋根など「構造耐力上主要な部分」や「雨水の浸入を防止する部分」の欠陥について、新築住宅の引渡しから10年間の瑕疵担保責任(契約不適合責任)を売主・請負人に義務付けています。
・住宅性能表示制度の創設
国土交通大臣に登録された第三者機関が住宅の性能を評価し、等級などで表示する制度です。これにより、住宅の性能を比較・検討しやすくなります。
・住宅の紛争処理体制の整備
住宅性能評価書が交付された住宅についてトラブルが発生した場合、専門の紛争処理機関(指定住宅紛争処理機関)に低コストで紛争処理を申し立てることができます。
○住宅の「構造耐力上主要な部分」とは、建築物の自重や積載荷重、地震、風、雪などの外力を支える骨組みとなる基礎、柱、壁、屋根、土台、梁、筋かいなどの構造要素を指します。これらは住宅の安全性や耐久性に直結する不可欠な部分であり、品確法により10年間の瑕疵担保責任(保証)が義務付けられています。
構造耐力上主要な部分の具体例
主に以下の部位が該当します(木造住宅の例):
基礎・基礎ぐい:建物を支えるコンクリート部分
土台:柱の下に敷く木材
柱:垂直に立つ部材
壁:耐力壁(筋かいや構造用合板)
斜材(筋かい・方づえ・火打材):地震や風の揺れを防ぐ斜めの部材
横架材(はり・けた):柱を横につなぐ材
床版:床の強度を支える板
屋根版:屋根の構造体(野地板など)
小屋組:屋根の骨組み
以上:1,997文字
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